扇絵名品展・・・鴻池蒐集



いま大阪市立美術館において開催されている鴻池コレクション扇絵展を観た。


この美術館では昨年のいまごろ「小袖展」が開かれている。
さほど期待していなかった「小袖オートクチュール」と銘打ったそれは
着物に対して日本の誇る見事な美術品であることを再認識した。
斬新なデザイン、色使い、全く古さを感じさせない。



今回の扇絵展もその贅を尽くした美術にため息ものである。


大阪の豪商・鴻池家では、一説に数千本ともいわれる扇が蒐集されたという。現在もそれらの多くが、大阪の鴻池合資会社資料室と東京の太田記念美術館に所蔵されていることだ。


おもに鴻池家11 代善右衞門幸方氏(1865〜1931)が蒐集したといわれるこの一大コレクションは、浮世絵、江戸琳派、円山・四条派など、江戸時代後期を中心に、画壇を一望できる内容を誇っていると言われている。


扇の小さな空間に、季節の花や鳥や景色などが
巧に描かれ物語的に散らばめられている。
一つ、ひとつの扇をみているとその時代の優美な生活様式が
偲ばれ、なんと贅沢な持ち物なのかと思える。


丸山応挙、呉春、伊藤若冲など作品もあり柴田是真の扇絵も連ねていた。
柴田是真は、第二の伊藤若冲と言われている。
同氏の作品展は、現在相国寺承天閣美術館で6月6日まで開催されており
先日、わたしは観てきたばかりである。
相国寺京都五山の名刹で塔頭に金閣寺や銀閣寺がある)


数ある名品のなかで一番目を引いたのはあでやかな「紅葉」である。

  池田弧邨



[縁台の三美人]葛飾北斎