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日替わりメニューのように

知(痴)人の愛


画像は石楠花


シニアの域に達している知人、友人の暮らしぶりは多彩である。


70歳を越してなお現役でお仕事されている方もある。
一方では職場に向かうがごとく毎日のようにお稽古事に通っている人もいる。
過ぎ行く春を惜しむように、今を一生懸命生きようとしていることが、わかる。


わが住居の階下6Fに住むKさんは、離婚して10年後ぐらいに
理想の伴侶とめぐり合い再婚したひとりである。
退職したての夫と気分よく暮らし、海外旅行にも数回出かけ
満足した再婚生活を送っていた。


なのに、再婚7年ほどして夫が肝がんを発症。
寝食忘れて妻は看病し、感謝しながら夫は4ヶ月ほどで逝ったという。
再婚して年数が浅いにも関わらず妻の、その嘆き
悲しみは相当のものがあったようである。


結婚生活の長短に関わらず「喪失の痛み」は大きい。


Kさんは長いあいだ涙にくれ、他との接触を絶っていた。


夫の死後10年近く経たごろ、ようやく
自分を取り戻し、夫の遺してくれた家屋と
年金やらで安寧の日常を送っている。


いまこうして経済的にも安心して暮らせるのは
夫のおかげ・・と、近くにある墓参を欠かさない。


うつ状態の一歩手前にあったKさんは今カルチャー通いの毎日である。
電車を乗り継ぎ「万葉集」の講座に、近くのダンススクールに行き
育児支援の専門講座など忙しく「充実した毎日よ」と明るい。


Sさんは現在65歳・・・
ファッションセンスも若く、まだまだ妙齢のレディである。
60歳を越しているように見えない。


離婚、再婚を3度繰り返し昨年またひとり身になった。
「もう結婚はコリゴリ〜〜」といいながら
かつて自分で自営業をしていた彼女は今もパワー全開である。
Sさんもまた、日々のお稽古事に余念がない。
社交ダンスに、ジャズダンス、書道、絵手紙などなど・・・。


資格マニアだった彼女は、それらを駆使しあきらめずにアルバイトを探し
ある仕事を続行中であり、月々の飲食と遊びと学びの費用を捻出している。


彼女たちは来しかたを悲観するでなし、誠にたくましく
日替わりメニューを愉しんでいる。
時間もたぷりあるなか、知的好奇心を充たすことは、
何よりのしあわせと思える。


わたしも、そのような生き方が嫌いではない。
むしろ好きなほうである。
でもわたしの場合はいま、ひとつのことにじっくり向き合い
極めたいてみたい気持ちが強い。


バタバタと慌しく時間を過ごすのが好きではなくなっている。

よって、仙人のような静かな日常を選んでいる。