人間万事塞翁が馬


画像は花菖蒲(姫街道)



朝のNHK連続ドラマ「ゲゲゲの女房」が好調のようである。
ご存知「ゲゲゲの鬼太郎」の作者水木しげるの奥様の原案である。
「ゲゲゲ・・」にはたくさんの妖怪が出現する。
これからの展開が楽しみだ。


よく考えてみると、わたしのまわりにも「おんな妖怪」がたくさんいる。
前回は65歳の年収2,000万円キャリアウーマンの話を書いた。
今日は少し、趣のある女性の話しである。


H恵は、現在50歳を過ぎたばかりの目元麗しいチャーミングな女性だ。
その彼女がこの4月末に長年の夢である「お惣菜専門」の店をオープンさせた。
場所もよく、メニューも近隣のレストランなどと競合しない。
よくここまでこぎつけたものと、わたしは感嘆している。


しかし彼女の夢は実現できたけれどそれには急展開した愛憎のドラマがある。
それは夫との軋轢、離婚騒動の副産物だという。


彼女は若いころ夫の浮気が原因で、子供がまだ幼少のころに一度離婚している。
息子たち二人をおんな手ひとつで育て、大学を出し持ち家まで手に入れている。


そのがんばりやさんの彼女、夫と離婚後かつての初恋の同級生と親しくなり
その同級生もバツイチだったことから、20年以上のお付き合いを重ねていた。


その彼との再婚話が現実的になり実行に移したのは、彼の父が急逝した直後である。
残された高齢の母親が息子の再婚を強く望んだこともあった。
もちろん、それまでに彼の両親との面識はあり長いあいだ再婚を
ためらっていたのだ。

「今さら結婚なんて止めなさいよ、介護しにいくようなものよ!」
彼女の友人、知人は反対したそうである。
わたしも少し懸念していた。
何しろべったりの母親が一緒の生活である。


彼女の息子たちの自立と後押しもあり再婚に踏み切ったのは
つい2年ほど前である。

最初は同居する義母がうつ病になったり、彼の実妹が離婚して
舞い戻ってきたり、さんざんな環境だったようである。
でもいつもの前向きさでそれらを乗り越え
平穏な新婚生活を楽しむ・・・というときになって
なんということか、再婚したばかりの彼の浮気発覚である。


2度目の夫は趣味でギターを弾きバンドを組んでいた。
音楽が好きな二人は、そのことも一緒に楽しんでいたのに
ボーカルのおんなの子の出現で事態はあらぬ方向へと進んだ。


なんとなく予感していた、と彼女はいうが・・・
せっかくの新婚生活は空しく変貌し、再婚夫は
あろうことか、その若い彼女に熱をあげ、気に入らなければ
「出て行ってくれ!」と言い、残してきた我が家に
H恵は帰っている。


再婚夫との付き合いは前夫より長く、彼の自営する仕事の
経理も執りしきり、この時勢を乗り切ってきたというのに・・



息子たちといま暮らしながら、自立の一歩として
店のオープンを決断したらしい。
「もちろん費用は彼のお金よ!」負けてはいない。


わたしはまだ彼を愛しているから、籍も抜かないし
彼の苗字のままで死んでいきたい、と純情なことをのたまう。


彼との別居は破局のあと、もちろん同じ会社で仕事をするわけには
いかないから、今度の店オープンは彼女の意地をかけた選択だろう。


人間生きていると予期せぬことに遭遇し、その連続である。



人間万事塞翁が馬・・・
この言葉をかみ締め、彼女の今後を見守ろうと思っている。