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尽くす女

知(痴)人の愛


息子夫婦から届いた母の日の贈り物




S美とは、かつて机を並べて仕事をしていた仲である。
わたしより6歳年下なのに子どもがいないせいか、ずいぶん若く見える。
スレンダーで、杏里というニューミュージックの歌手に、よく似ている。


ロングのストレートな髪を頭のてっぺんで結びポニーテールにしている。
50歳を越してこの髪型が似合う彼女は、生活臭がまったくなく
女のわたしから見ても、かっこいい女性である。


しかしこの彼女よく仕事をし、経済的にしっかり自立を果たしているが
「男運」が良くない。
いつも相方に尽くし過ぎるのである。


つい最近このブログで男の浮気が原因で別居し、そのエネルギーで
自分の店を持った女性の話しを書いた。
その彼女もどちらかというとぞっこん男に惚れこみ、男の好きな料理を
作り生活全般、仕事の補佐までして彼を助けていた。
なのに、彼はよそ見をした。
今でも彼女は、彼が望めば元のさやに戻るかも知れないほど好きだという。


このタイプの女性に対し男性諸氏は、ひょっとして憧れを持つかも知れない。
なにしろ、自分の望むことを先に先にとやってのける。
ラクチンである。


けれど尽くすことにもいろいろあるだろうが、この種のタイプは
男をダメにしてしまう、というのがわたしの実感。


S美も亭主に、みかんの皮をむいてあげたり、靴下を履かしてあげたり
結婚当初からペット並みの愛情を注いでいた。
もちろん共働きである。
夫とは似たような年収を有し家庭においては夫を立て大事に扱う。
ところがというか、やっぱりというか・・・。


亭主はそのうち自分の稼ぎをすべて小遣いにし、、遊びまわるようになった。
保守的な彼女はそれにもじっと耐えていた。
毎日、彼女の夫の暴君ぶりを聞かされるわたしは、腹が立って仕方がない。
彼女の親や兄弟が知ったら嘆くだろうなという思いから、離婚を勧める。


やがて夫の怪しげな恐ろしい人間関係が発覚し
すったもんだのあげく、ようやく離婚を決意し郷里へと帰っていった。
もちろん離婚の原因が夫のせいばかりでもないだろうが
非は明らかである。


それから10年以上が経つ。
グラフィックデザインのキャリアが長いS美は地元で
それなりの会社に職を得、管理職にまでなっている。
仕事運はいいらしい。
近くに新築のマンションを買い、終の棲家も決めている。
実家が近くにあっても決して依存はしない。


そのS美が2年ほど前から結婚を前提にした男性とつきあっている。
週末婚のように男はいそいそとやってくるようだ。
なるほど前職の彼の経歴をみると華々しい。
尽くすタイプの彼女はまたもや、男に入れあげる。
双方の親に紹介を・・という段になって彼女は
彼との付き合いに疑問を持ち始め、すこしためらっているようである。

その男・・・よく聞いてみると金銭にだらしがなく
お金を借り、そして返さない。


さすがに今度はS美も学習したらしく、男との距離を置こうとしている。
男女の仲に金銭が出てくると良くない。
相手の人格を疑う。
男は彼女より10歳ほど上なのである。
本当は守って欲しいと願っているS美は
またもや、依存される関係になってしまった。


一生懸命、誠実に生きて男性を選んでいるのに・・・
「尽くすおんな」は男をダメにするのか
それとも別の要因が潜んでいるのか・・