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一番目の男

知(痴)人の愛


バラ「アンネフランク」

K子の婚活②



K子は家を出たものの、からだの不調は続き深いトンネルに
閉じ込められたような生活を続けていた。


夫からの送金は月150,000円であり、家賃などを差し引くと幾らも残らない。
おんなひとりの生活で車を持ち、月数回ゴルフに行き、そしてカラオケが大好き。
ジャズも習いに行っていると、お金が足りない。


彼女は会社勤めの経験はないが化粧品販売の仕事を20年以上している。
その沿線上にある『リンパマッサージ』を学び、自宅の一室でエステを開業した。
美術系短大卒の彼女は『美』に関して人一倍執着心もある。
服装やメイクなど同年齢の女性より関心が深く、
シワひとつでも気にするタイプである。



2年ほど過ぎたころから、ようやく恋人探し、厳密には結婚したい願望が強くなり
その行動を起こしている。



この妖怪女性の外見は清楚で華奢で、60歳近くになっても年齢を感じさせない。
エキゾティックな雰囲気をも持ち合わせその気になれば、
2,3件のお相手の紹介が飛び込んで来ても不思議ではない。


籍が抜けていない負い目があるけれど、
とにかくK子は会うことにした。



知人からの紹介者第1号は、彼女よりひとまわり上の離婚暦のある男性S氏。
経歴をみるとこれもまた華々しい。



定年後の子会社勤務を終えた元大手商社マンで、
数か国の海外支店を立ち上げた名物支店長あがりの錚々たる人物である。


子息は米国著名州立大学を卒え、英国で大学院を卒業した日本大手商社マン。
2番目の子息も日本の大手重工に勤務。娘の夫は米国人でスタンフォード大のMBSを取得したスイス大手銀行の役員でもあるということだ。



写真をみせてもらうと髪が少し薄いだけでお顔も柔和で、そう悪くはない。
堂々たる恰幅でそれなりのインテリジェンスも持ち合わせている。
海外で仕事を成し遂げ、子どもを立派に育てあげた人がどうして離婚に至ったのか。
それなりの理由があるのはお互い様さまか・・・。



何回かのメールなどを経て紹介者に付き添われ初めて、本人に会った。
当日めいっぱいドレスアップして望んだことは、いうまでもない。
初対面からS氏はK子を気に入り、彼女もまんざらでもなく付き合いが始まった。