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恒産あっても恒心無し


うつき


男とおんなの総括


数回にわたり「人間万事塞翁が馬のH恵」「尽くす女S美」と
「婚活に励むK子」を書いてきた。


わたしが何の変哲もない日常を暮らしているその脇で、
日々真剣に伴侶探しに奔走し珍しい経験や苦い体験や
また抱腹絶倒?している女性たちがいる。
こうしたことは、再婚を渇望する者にとって日常事なのかもしれない。


塾年世代の再婚の成就は、これまでの人生の集大成との対峙であると、
あらためて感じる。
再婚に求められるものとしては、キツイ、キタナイ、キケンの
3K職場ならぬ、次の5Kではないかと思う。


以下は、常々考えていたことである。


1.感情。
   愛、思いやり、波長が合う、好嫌の思い、容姿など。
2.恒心(理性)
   知性、品格、上品・下品、学歴、知識、センス、ユーモアなど。
3.恒産(財布)
   経済力、生活費、預貯金、収入、職歴など。
4.健康。
 老年に向かう時には、第二の財産である。
5.係累。
   多少、複雑化、外野からの喧騒など。



その後のK子はつい最近になって半同棲中の彼と別れた。
最初から感性が合わないのを承知でつき合い始めたが
破局はしのび足でやってきていたようである。


理由は様々である。
上記の5Kのうちの1番の感情や、2番の恒心、そして3番の恒産などが
挙げられるのではないだろうか。


二人の間では、彼が退職したあとのことを考え、
新たな会社設立もして、預金残高もお互いが知るほどの
仲だったのに、あっけないものである。
こころの齟齬が生じた結果なのだろう。
特別に憎しみあって別れたのでもない。
小さな意見の食い違いが積み重なったともいえる。
「君の言うことを聞いていると一億円あっても足りない」
彼が残した言葉はどういう意味を持つのか、当事者でないとわからない。


それにしても男と女の結びつきと別離は、どこに転がっているかわからない。


再婚を掌中に収めようとすれば、それなりの努力と忍耐が必要である。
そして大事なことは双方に人物をみる見識眼が求められる。


そして、わたしは思うのである。
人の生き方に求められる 「恒産無ければ恒心無し」の格言から
”恒産あっても恒心無し”では、実りある人生にならないと。
まさに、“倉廩(そうりん)実(み)ちて礼節を知り、
衣食足りて栄辱(えいじょく)を知る”べきということか。


K子に限らず女性の場合、結婚のうまみは経済の安定にある。
しかしそれに重点を置き過ぎても虚しさが出る。
そのようなことに頓着しない人間であれば物事はさほど
難しくないような気もしている。


“物質的に他人に依存しない自己を確立すべし”というべきか。
精神と経済の自立している人こそ、真の大人と言えるし
双方の関係が持続できるような気もする。


K子がメタボ男と別れることになった背景に
老親の介護の問題もあることを補足したい。


血を分けた親子であっても彼女と母親との、また父親との確執があり
二人のことを長いあいだ公務員の妹に任せてきた。
しかしこのままでは、自身にあとで悔いが残るだろうとの思いから
これからを看ることにしたのだという。


人との出会いと別れは複雑な背景と要因が重なっている。


それぞれのパーソナリティを持ち、笑い、悲しみ
悩みながら人は、日々生き、歳月を重ねる。



紫らん