敏感も困りモノ


江戸系・玉手箱


朝からまっすぐな雨が降っている。
もちろんのこと、空は暗く灰色だ。
ベランダの花々や、マンション内の中庭の木々が生き生きとしている。


雨の日に出かけなくていいのがしあわせだ。
雪が散らつく寒い日は外へ出るのはイヤだと思い
カンカン照りの暑い日は家にひっこんでいたいと願うわたしが
よくぞ数十年のあいだ毎日外出して人にまみえ、仕事をしてきたものと思う。
外出嫌いではないが何故か最近家にベタッといたいと思うこのごろである。
特に雨の日は落ち着くので、在宅が最良である。


昨日は「からだの冷え」について書いた。
最近感じているからだの変化がもうひとつある。
それは五感が鋭くなってきたというか、特に
匂いに敏感になっていることを感じる。


食べ物の匂いや花の香り、そして人間の体臭などなど・・・
いい香りのときなど目を閉じうっとりそれを愉しめるが
そうでない場合グッと息を止め、やり過ごすこともある。
電車の中でそういうことには遭遇する。


匂いに敏感なわたしが、食べ物に当たることがあるのだ
昨今は魚と野菜が主の食事だが元来、アブラモノも好きである。
ランチのときは、ステーキ弁当や焼肉定食、天ぷらなど
こってりしたものを注文してしまう。
家で避けている反動かも知れない。


働いているときには、昼食の場所を選ぶのに迷っていた。
大阪の中心街だから飲食店は多いのだが、
おいしくて安いところはどこも満員である。
行きそびれると職場の1階にあるレストランへ流れるしかない。
店内も広々してきれいだし、いつ行っても空いている。
しかしメニューの豊富な割にはおいしくないし
職員の割引があるとは言え、値段も高い。


ある日、午後からの大事な会議を控え
他のデスクの“ボス”たちとそちらに流れた。
ボスたちは「かき揚げうどん定食」を頼んだ。
そのかき揚げをおいしそうに感じ、わたしも同じモノを注文した。
少々しつこい味かなぁと思い、2割方残して昼食を終えた。


職場に戻り30分も経たないうちに猛烈にお腹が痛くなり
トイレに駆け込むこと再三である。
幸いにも部屋からトイレが近いからいいようなものの
離れていたら間に合わないほどの激しい下痢である。


「しまった!あのかき揚げがよくなかったのだ」と思ったが後の祭りだ。
天ぷらの油に当たったのではないかという疑問が頭をよぎった。
そのレストランがコストダウンのために
見えないところで揚油の品質を下げたか
酸化したものを使用したのではないだろうか、と思える。


他にも天ぷらそばを食べて当たったことがある。
蕎麦は遜色なかったが添えてある天ぷらが原因といえる。
オフィスの近くの繁盛しているお蕎麦やさんだが
食べてすぐ吐き気と下痢を催した。
こちらもきちんとした飲食店である。


一緒に食べた他の同僚や年齢の高いボスたちには
何の異変も感じられない。
わたしだけがいつも、そのようなことになる。


額に脂汗を滲ませ、ようやくの思いでその危機から脱し
会議の議事進行を進める。
そのさなか、大事な仕事が控えているときは
決して脂モノなど外で食べないようにしようと深く決意したのである。


しかし、どうして同じモノを食べてわたしだけが当たるのか。
腸が敏感なのかと疑問に思う。
思い当たることといえば、5,6年前から整水器に「還元水」を
使用していることぐらいか。
同じように還元水を利用している知人に言うと
わたしも一緒!という返事が返ってきた。
その知人いわく。
「外食したあとは便がすごく匂うのよね」同じことを感じている。


下痢や嘔吐は、からだの異変を知らせる危険信号のようなもの。
変に解毒剤などで緩和させるより出すものをしっかり
出したほうがいいから、いつも自然治癒力で快復を待つ。
そんな訳で、外食先の選択には自然と厳しくなった。
これも生き方の教訓である。


江戸系・花物語