映画「セラフィーヌの庭」

画像はお借りしました。


マルタン・プロヴォロスト監督
ヨロンド・モロー
ウルリッヒ・トゥクール


素朴派の女性画家セラフィーヌ・ルイの生涯を描いた人間ドラマで
2009年度のセザール賞で作品賞をはじめ最多7部門を獲得している。


1912年。フランスのパリ郊外サンリスで家政婦として働くセラフィーヌは、
孤独で貧しい生活を送っていた。彼女はプライベートでは、
熱心なキリスト教信者であることから聖歌を歌い、
自室に籠もっては手作りの絵の具で絵を描くことに没頭している。
ある日、そんな彼女の前にドイツ人画商ヴィルヘルム・ウーデ
(ウルリッヒ・トゥクール)が現れる。
彼女の絵の才能に心を奪われたウーデは、良き理解者として
家政婦を辞めて絵を描き続けることを強く薦め、
無償の支援を申し出る。
その後、セラフィーヌの名は世間でも次第に知られるようになり、
金銭面も豊かになっていくのだが……。


紹介文を少し引用・・・↑


ドイツ人画商ヴイルヘルム・ウーデは
巨匠ピカソの友人であり、アンリ・ルソーを見出したことでも知られる。


しかし、見い出されたことが彼女にとっては良かったのかどうか・・・
絵が売れて、世界に名前が知られるようになると
彼女の浪費癖が自身を貶めることになる。
スポンサーであったはずのヴイルヘルム・ウーデが恐慌により
破綻したことなどが理解できなくて、精神を病んでしまう。


精神病院に入れられ、一切絵を描くことをしなくなり
そのあいだに絵は売れ、かろうじて質の高い病院で
人生を閉じられたことが救いか・・・


才能を見出されていなければ、自然の中で思いっきり
好きな絵を描き、病むこともなかっただろうに、と思える。
何がしあわせで、そうでないのか、わからない。


貧しい時代、絵の具を買うこともままならないセラフィーヌが
肉屋さんで肝についている血をビンにいれ、こっそり持ち帰り
それをいぶし赤の絵の具に見立てる。
草木や自然のものを使い、絵を描くさまは、圧巻である。


林や森がたっぷり映し出されるスクリーンは
それだけでも見ものである。


ドタドタっと無骨に歩き、農夫を感じさせるセラフィーヌの
風貌をうまく演じているヨランド・モローも魅力である。


心に染みた「セラフィーヌの庭」はいま梅田の
ガーデンシネマで上映中である。