「年金パラサイト」

「パラサイトシングル」や「婚活」という言葉を
世に知らしめた中央大教授の山田昌弘氏が
悪い予感が当たってしまった、とY紙のコラム
《「年金パラサイト」貧困の現実》のなかで引用されている。

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親の死を隠し、親の受給していた年金をもらい続け
死体遺棄と年金の不正受給による詐欺で摘発される事件が相次いでいる。


昨年6月に出版された山田昌弘氏の著書「ワーキングプア時代」の一文らしい。


数年前からこうした事件記事が新聞に載るのに気づき
「このことは特異な事件ではなく、いつか社会問題になる」と
危惧の念を抱いていた、という。
今後「親の年金に依存する中年の子ども、いわゆる年金パラサイトが
増えておりその将来が心配」とも言っている。


総務省統計研修所の分析によると
35〜44歳で親と同居する未婚者は年々増え、2009年は280万人。
既婚や一人暮らしの同年代に比べ
失業者や無就業・無就学者、非正規で働く人の割合が高く、
無収入や低収入のために結婚も自立もままならないと
推測される中年層は約74万人に上るという。


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彼らの多くは、親の年金に依存していると見られ
中には、親の死後、生活に困って、年金詐欺に
走る人が出てくることが懸念される、といっているが
もう現実にそうなってきている。


パラサイトシングルという言葉が流行ったころは
子どもがまだ若く、子ども自身がきちんとした職に就いていても
親と同居することにより生活全般の負担が少ないことから、
「親と子の共依存」が社会や親から受け入れられていた。
子どもを溺愛する親、いつまでも親離れしない子ども・・
そうしたことが、子どもの自立を妨げる一因ともなっており
結果、年金パラサイトへと移行していく。


非正規雇用の急増など経済や雇用情勢の変化もあり
すべて個人の責任とは言えないまでも
やはり、そのことのツケが廻ってきている、と
言えなくないだろうか。


老親の年金に頼る中年貧困層への就労支援も
喫急の課題であるが、親、子、双方の自立の認識も必要かと思える。


私事では、「愚息が30歳になったら、家を追い出すように」との
生前の夫の言葉に従い、安住していた息子をさっさと
一人暮らしのほうへ向けた。
残されたこちらにも不安がないわけではなかったが
今では、そのようにして良かったと思っている。


それにしても「パラサイトシングル」、「年金パラサイト」
変な寄生虫が出てきたものと思う。