既婚女性の働き方

先日、駅へ向かう途中知人女性に会った。
彼女は出勤の途中である。
何年ぶりかで会う彼女としばし立ち話をし、60歳をとうに越した彼女が
まだ仕事を続けたい意思を持っていることに驚いた。
大手流通のテナント80店舗の事務員をしている彼女は
勤め始めて、21年になる。


そちらがオープンするとき、テナントの役員に「事務職」の
求人を頼まれ、たまたま仕事を探していた彼女を紹介した経緯がある。
りっぱに紹介者の顔?を立ててくれて、嬉しい限りである。


彼女の夫はすでに退職し、趣味の魚釣りや野菜作りにいそしんでおり
彼女自身も60歳で辞めて、一緒に旅行などを愉しむつもりで
いたのに、この時勢がらか慣れた仕事を
「クビになるまで頑張るわ〜」となったようである。


わたしからすると、パート勤務で21年は
もったいないなぁと他人事ながら思ってしまう。


雇用保険だけで自分の社会保険に加入していないのである。
今、週22時間以上勤務すると、保険適用が会社に義務付けられている。
しかし事業所の大小を問わず、これを遵守しているところは少ない。
今に限ったことではないが、本当に女性の能力を
うまく安く使っているなぁと思う。


一方で、その働き方を欲している人も少なくない。
子どもが小さかったり家の事情で、フルタイムで働きたくとも
短時間勤務を選ばざるを得ない現状もあったりする。
何より扶養控除の壁がある。
その範囲内で働き、ゆっくり余った時間を使う。
双方の思惑が一致している部分もあり一概に事業所を
責めることはできない。


別な知人は、30年近く大手の企業で事務職を経験してきたが
身分は「嘱託」扱いである。
それなりの実績があり、仕事のできる彼女に幾度となく、
わたしは「正職員」の道を探すことを勧めたが
それに伴うリスクを懸念して、迷っているうちに年数が過ぎた。


彼女は50代後半に、通勤に往復3時間かかる本社勤務となる。
まったく予期していないことである。
満員電車や地下鉄での乗り換えなど会社に行くだけでも大変な労力だ。
仕事の中身は、複雑な稟議書など専門的なことも多く
他の、仕事のできない正社員の厚遇を憤慨してもいる。


60歳を超えると、今度は完全な「パート職」扱いになった。
時間給制になり、大幅に抑えられた。
勤務時間も仕事の中身も変わらない就労のなかで
相変わらず責務はかぶさり、保険はあるもののパートとは名のみで
体よく使われていることを実感している。
しかしまた彼女も、このご時勢にまだ職に就けていることを有り難く思い
からだの不調を感じながら続けている。


きちんと対価にあった報酬が支払われてこそ、仕事の達成感も
向上心も増すように思うのだが、日本の多くの企業は
働く人の犠牲のうえに成り立っているように感じる。


ブレッド湖
あまりヘタなので一度掲載してすぐ取り下げた。
でも愛着があるので再登場。
夏の葉さんの画像をいただいた。