潤平の初恋

あれ?
気がつくと携帯に着信履歴が並んでいる。
娘からだ・・・。
カバンのなかに入れたまま、よく忘れる。


何かあったのかと気にかかり電話するが、出ない。
ようやく3回めぐらいに、つながったかと思うと
「ウウッ、うっうっ・・・」潤平が泣いている。
前にも一度同じことがあった。


どうしたのかと訊くと「ママにしかられたぁ、ウウッ、うっうっう・・。」
「じゅんくん、なんにもしてへんのに、ママに怒られたぁ、ううっ・・。」
押し殺したような泣き声が止まらない。
なかなか要領を得ないけれど、ママにきつく叱られたらしい。
それで、ばぁばに電話で助けを求めたのだろう。


「かえでと喧嘩したから叱られたんか?」とばぁば。
「かえでとは、けんかしてない、ママとけんかしたぁ」
「ままとけんか、ちたぁ」2歳のかえでが横から助け船を出す。
こんなとき小さい子でも、兄貴をかばうものらしい。
「そうかぁ、ばぁばはジュンくんの味方だからねぇ〜」
「ママを叱っておくよ〜」言うと、途端にご機嫌を直している。


あとでママに電話してみると・・・
「ママ、ばぁばに怒られた?」と、ニコニコ顔で潤平が聞いたらしい。
「まったく何よ!」と思いながら、逃げ道があることを喜んでいる。
日常茶飯事の親子のこんな情景をたくさん繰り返し
子どもは成長していき、親も同じように子育てを学んでいく。


冬休みに入る前に、幼稚園の親子面談があった。
「友達も多く活発ですよー」の先生の言葉のあとに
「じゅんくんね〜、○○ちゃんとけっこんするねん!」潤平が、告白したようだ。
いまどきの幼稚園児に慣れている先生は
「そう、けっこんするときは、せんせいもよんでねぇ〜と答えました」と
の言である。
「へぇ〜〜〜?!」ママはびっくり仰天!


訊くとその○○ちゃんは、男の子の人気者でライバル多しであるらしい。
どこが、どう他のおんなの子と違うのか本人に聞くと
他の女の子のことは、呼び捨てにしているのに
その子のことは、ちゃん付けだそうである。
まったく・・・へぇ〜ママはただびっくり。
潤平にも自分の好み?があるらしい・・・。
日々大きくなっているのを実感している。


お正月に「オジチャンちに泊まるか?」とオジチャンに言われ
血相かえて大泣きした潤平と大違いである。


それにしても潤平の憧れの君は、どんな子やら。
ばぁばも見てみたい気がするなぁ。