黄泉の世界は?

久しぶりに5月らしい、さわやかなお天気だった。
このところ雨風が強かったり、曇り空が
多かったせいか、いっそう薫風を心地よく感じる。


今日は夫の祥月命日である。
丸8年が過ぎた。
よりによって、誕生日と命日が一緒の日なんて・・・


5月はわが家に関係あるひとの命日がひしめいている。
夫の両親、わたしの両親・・・
この季節になると切なさがよぎる。


夫の命日の今日、息子夫婦、娘たち家族でわが家で
夜集まり、食事をし思い出に浸ろうということだったのだが
それぞれどうしても来れなくなり、ひとりでお経を上げた。
逝って8年を経ると今の生活に慣れてしまい
ぐっとこみあげることも少なくなったが、それでも
やはり久しぶりに胸に迫り、ポロポロあふれてくるのを
止めることができなかった。


黄泉の国とはどんなところなのだろう?
いまごろ、あちらの世界でどうしているのだろうか。
もう生まれ変わって別な人生を歩んでいるのだろうかと
思いはとめどがない。


潤平が熱を出し幼稚園を早退した、と言うので
仕事を終えてから、娘宅に行ってみた。
風邪をひいたようだ。
鼻水をたらしている以外は元気そうで安心した。


娘宅も、父親を偲ぶために仏前をきちんと整えてくれていた。
分家であるに関らず義母の篤い信仰心のおかげで
部屋を占領するほど大きいご宝前がある。
毎月の花代だけでも痛いと彼女は嘆く。

それでも両側の大きな花びんにたっぷり花を活け、
父親の好きだった「煮込みうどん」や
「握り寿司」や「お饅頭」が供されていた。


めったにお経などあげることのない娘が、仏壇の前で背筋を伸ばし
経典を読むと神妙に、かえでは手を合わせていた、という。


亡き父親を偲ぶ。
こうしていつまでも心の拠り所として、大切に思ってもらえるなんて
夫も父親冥利に尽きるというものだ。


不思議なことに、この世の人でなくなった途端
生きているときより、はるかに身近に感じるものである。



なわしろグミ(万博公園にて)