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老いらくの恋?の行方

知(痴)人の愛

演歌は好きではないけれど、演歌歌手に知人がいる。
名前を聞けば「ああ、あの人か」とすぐにわかる男性歌手である。
わが町出身である。
ひょんなことから知りあい、まだ売れていない時期に
一緒に食事やお茶をグループで気軽に楽しんだりしていた。
別な理由からその演歌歌手の奥さまとも懇意にしている。


最近はNHKの歌謡番組やラジオにも頻繫に起用され
歌舞伎座では座長公演の座長をこなすなど
メキメキと人気があがり、多忙を極めるまでになっていた。
いた、というのは過去形になりつつあるからだ。


ハンサムでもなく若くもないが、甘い声と歌唱力と
素朴な人間性が、男女問わず年配に人気があるようだ。
トークも柔らかい大阪弁で親しみやすい。
後輩に有名な石原○子や河内男節の大阪の女性歌手がいる。


彼のデビューは遅かった。
30歳を過ぎていたから、今とっくに還暦も越しているはずである。
歌手として自立ができるまで妻はずっと働き、夫を支えてきた。
そしてデビューを果たし、食べていけるようになると
妻は仕事を辞め、夫をつつましく支えていた。
糟糠の妻のお手本のような人である。


その妻との長いお付き合いのなかで、わたしが彼女宅に電話をかけると
その歌手本人が出て、人気が出てからもその鈴やかな声で
気さくに応対してくれていた。


後援会にも一応、名を連ねておりディナショーなどに
欠かさず行っていたのは数年前までで最近、遠のいていた。
その彼の意外な近況を聞き、驚いている。


あまり下世話な話には関心がないし、披瀝したくもないのだが心底、驚いた。
「30歳代の女性マネージャーと恋仲になった」というのである。


華やかなその世界では珍しくもないことだろうが
あろうことか後援会主催のゴルフや諸々を
平気で恋人とすっぽかすようになったというのだ。


恋は盲目と言うけれどまさにそのとおりで
今まで真面目一方で生きて来た彼の初めての恋は
仕事にも支障を来たし、あきれて怒った後援会が
解散したというお粗末な顛末つきである。


名が売れて来たといってもまだ中堅どころにも届かない。
後援会などに見限られると彼の将来は危うい。


かくして、詰まっていたそれまでの契約の悉くがキャンセルされ
いま恋人と地方周りをしている、ということである。


人の運命はわからない。
せっかく栄光の階段を上りつつあったのにフイにしてしまった感がある。


老いらくの恋は手がつけられない・・・
事情に詳しい知人はぼやく。
それにしても奥さまの心情を思うとたまらない。
もう少し上手く付き合えなかったのだろうか、とも思うが
それが彼の純粋さゆえの個性だろうか。


ユスラウメ