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笑うに笑えない話し 第一話(ラグビーメトロ)

先般から中国隠ぺい体質のことに触れてきたけれど(8/2)
関連するおもしろい記事を見つけた。
このような実態を知るとさもありなん、と思うが
皆さんはどう思われるだろうか。


筆者は、近藤 大介氏(1965年生・ジャーナリスト)である。
なかなか切り口鮮やかで笑ってしまうが本当の話であるらしい。
抱腹絶倒の話を、4回にわたって紹介しよう。


1回目は、地下鉄(ラグビーメトロ)の話である。


以下 全文転載

中国浙江省で起きた高速鉄道の惨事をめぐる余波が、
事故から一週間以上経ったいまなお続いている。


 私は1ヵ月ほど前の6月27日の本コラムで、
「中国版新幹線『和諧号』をめぐる前途多難」というタイトルで、
自らの乗車体験に基づいて、中国の高速鉄道がいかに
杜撰な産物かを述べた。その時は警鐘を鳴らす意味で書いたのだが、
よもや1ヵ月後にあのような悲劇が到来するとは、予想だにしなかった。


 だが実際には、中国で杜撰な交通は、高速鉄道ばかりではない。
北京在住の日本人として、あえて苦言を述べさせてもらえば、
中国ではあらゆる交通機関が杜撰なのである。
今回再び、私の体験に基づいた例を示そう。


<ラグビーメトロ>
 北京の地下鉄は、2008年のオリンピックの少し前まで
わずか2路線だったが、いまや13路線が開通している。
だが、その混乱ぶりたるや、尋常でない。


 私はこの5月にオフィスを引っ越すまで、
約2年間、地下鉄1号線で通勤した。
朝、最寄駅は「人山人海」(黒山の人だかり)で、
ホームに降りるまでに一苦労。
ホームに降りても、そのままボーッと列の後ろに立っていては、
30分経っても1時間経っても列車には乗れない。


列車がホームに着くと、人々は両肘を開き、まるでラグビーの
タックルのような要領で、開いたドアに向かって突進していく。
 しかも降車客を待たずに乗車客が突進するため、
降車客と乗車客が、まさにラグビーのタックル状態となる。
そして合図もなくドアが閉まる。
悲鳴、怒号、錯乱・・・列車が到着するたびに、
駅のホームは阿鼻叫喚の修羅場と化すのだ。


 運よく乗車できても、地獄は続く。
1号線は真夏でもクーラーなし車両が多いため、
超ラッシュの車内には悪臭が漂っている。
しかも駅と駅の間で、平気で15分くらい止まったりする。
しかもその間、何の車内放送もない。


 地下鉄に乗っていて駅に近づいても、地獄はまだまだ続く。
今度は、近くの乗客からふいにタックルを受けるのだ。
次の駅で降りる客が、なるべくドアの近くに移動しようと、
猛然と暴れるのである。そして車両が駅に着いてドアが開くと、
降車客と乗車客、それに降りない客との三つ巴の
タックル戦が繰り広げられる。


その駅で降りない客は一度ホームに降りてまた乗ればいいのだが、
一度ホームに降りると、乗る前にドアが閉まってしまう可能性があるので
、絶対に降りようとしない。
結果、3つの「潮流」が激突するのだ。


 こうして降車駅に着いた時には、もうフラフラである。
このため体力に自信のある若者以外、朝の地下鉄は避ける傾向にある。
そしてこれと同じことが、夕刻に再現される。


 北京の東西を結ぶ地下鉄1号線は、北京の一日の地下鉄乗車数
約650万人のうち、150万人が利用する最大の幹線である。
一刻も早く状況が改善されない限り、いつか大惨事につながるに違いない。


 ちなみに、朝の地下鉄の超ラッシュに耐えて、
晴れて改札口を出たとしても、地獄は終わらない。
地上に上がる長いエスカレータが「鬼門」なのだ。
よく故障中で脇の階段を使って上がらされるのは愛嬌としても、
作動中のエスカレータが突然止まったり、
時には下りに逆行したりするのだ。


 私は、何度も後ろにもんどりうって倒れた教訓を踏まえて、
いまではエスカレータに乗ると、必ず手摺りにしがみつくようにしている。
これもいつか大事故になると思っていたが、
ついに7月5日、地下鉄4号線のエスカレータが突然逆行し、
一人が死亡、29人がケガを負う惨事となった。


ということで、話はつづく。


高砂百合 8月に咲きます。