「上村松園の世界」模写をパソコン水彩画で

上村松園の画が好きだ。
久しぶりに松園の「花嫁」を模写してみた。
(敬称を略すことが恐ろしいほどの大家です)


上村松園は1875年(明治8年)京都に生まれ1949年(昭和24年)没。
京都府画学校(現京都市立芸術大学)で学び、その生涯では女性を描き続け
昭和23年に女性として初の文化勲章を受章している。
ひとり息子は日本画家の上村松篁(文化勲章受賞者)で、
孫は上村淳之である。(親子孫三代が芸術院会員)


明治のご維新の興奮と混乱が覚めやらぬ頃、葉茶屋に生まれた松園は、
女性が画家になることが考えられない時代に、女性の先駆者として
画家の道を切り開いてきたひとである。


明治期の松園の作品は、同時代の人々の日々の暮らしを描いており、
大正や昭和になると、特に女性の自立や内面への眼差しを通して、
凛とした女性の美しさを対象としている。


2010年の秋に京都で開催された松園の絵画展はすばらしいものだった。
その感想は当時のブログを参照していただきたい。
http://d.hatena.ne.jp/mursakisikibu/20101106/1289022430


なお上村松園の生涯を書いた小説には、宮尾登美子による
秀作「序の舞」(松園の画題から転用された)がある。
(この「序の舞」は昭和40年の切手趣味週間に
発行された切手となっている)


パソコン水彩画は、絵の具や紙などの消耗品を一切使わない。
わたしは、NTTの「水彩ソフトを使い、タブレットも使用している。
ソフトには油彩、水彩、クレヨン、マーカーなどのツールが入っており
使い方しだいでは、様々な作品に挑戦できる、すぐれものである。


パソコン絵画のサイズは画面上では、A3サイズまで描け
作品展用の印刷などには、あらゆる大きさの出力が可能でもある。
ただし、このレベルでは画素が荒くて、まだまだできない。
目標までの道のりは、遠い。



花嫁



灯り



舞い支度



序の舞



先日描いた「花嫁」は、前から挑戦したいと思っていた作品である。
黒留袖のきりっとした着物と、立て矢結びにした豪華な帯の質感を
どのようにパソコンで表現したらいいのか、模索しながら描いてみた。
スキッとした線描画がいまいちなのと
着物の裾模様があいまいで難しい。
やっぱり着物、帯など実物をみて描くほうが
リアルに表現できるように思う。


ちなみに「花嫁」の製作時間は6時間。
ふだん描いている花などに比べれば
3倍ほど時間を費やしている。