原因は母親の被曝だった!

福島原発の被曝を怯える母親が多くいることは
ひとりの女性として心が痛む。


かの名優ジョン・ウエインは胃がんのために72歳で死去している。
彼のがんの原因は、1956年にネバタ核実験場から220Km離れた
ユタ州セント・ジョージで「征服者」の撮影の際の
被曝であるとされている。
この撮影に参加した220人全員の41%の死因は癌であり、
共演した女優スーザン・ヘイワードもその1人であるとされる。


ウィキペディアによると、1951年から1992年まで合計928回
(地下実験は828回)の核実験がこのネバタで行われたとある。


ところで、わたしは「すみれ会」と称する寡婦ばかりの
会を作り、ときどき食事を共にしたりしている。
そのなかのひとり、Tさんは数年前から体調が思わしくなく
医者通いをしていることは知っていた。


先日久しぶりに会い、その尋常ではない痩せかたに皆が驚いた。
体重が一気に7キロ減ったという。
いったい何があったのか。


Tさんは昭和22年生まれの64歳だ。
その彼女は、60歳ぐらいまで病気ひとつせず元気が
取り柄と言っていたのに、次々と重篤な病を発症している。
最初は甲状腺がん、そして白血病、いま大腸がんの初期ということだ。


生活習慣病の観点からは なんら問題のない暮らし方を
し、模範的だったのにである。
わたしたちも「どうしてあんなに次々に?」と、人一倍優しい
彼女の病状に胸を痛めるばかりだった。


彼女も不思議に思い、ある大学病院で調べてもらった。
そしてようやく「驚くべき事実」が判明したのだ!
結論は、彼女の「母親の被曝」に原因があった。


「白血球の数が多いし、被曝されていませんか?」と
毎回、医者が変わるたびに訊かれていて、
それでも何の疑問も持たなかった。


しかし・・・母親のことを尋ねられて・・
岩国に住むTさんの母親は広島の原爆投下当時、
がれきの処理などで広島市内に数日滞在したことがある。
そのときに母親は体内被曝した可能性が高いということである。
けれどTさんは、そのときまだ母親のお腹に宿ってもいない。


医者に言われてみると、思い当たることはある。
Tさんの母親は75歳で死去しているが、60歳ごろから
次々に3か所のがんに侵され苦しんで亡くなったという。
まさか、自分が被曝していると認識していないので
被爆者手帳」も、もらっていない。


医者が言うには、体内被曝でも3世代遺伝子が残り
発症の可能性があるということである。
特に甲状腺や大腸や子宮などには蓄積するというのだ。
娘にも発症のリスクが?!
Tさんの嘆き、衝撃は言うまでもない。


Tさんは被曝の認定どころか、難病であっても指定にすら
なっていないので医療費の免除はないという。
莫大な医療費と精神的、肉体的苦痛をこれから
味わうことになる・・と
彼女の悲嘆は増す一方である。


3月14日の福島原発1号機−3号機の水素爆発からの
放射性のセシウムは広島原爆の168倍と政府は発表している。
地元はもとより福島からから220キロ離れた東京での被曝は
どういう結果をもたらすのか全く不明だ。

20年後には、水俣イタイイタイ病や、その後のエイズと
B型肝炎などと同じような、国への訴訟が生ずることになるのか。
いずれにしろ、その時点では、失った生命は還らず、
罹患に苦しむ者は救われないことになる。


身近にTさんの症状を知るにつけ、だれが責任を取るのか!と
怒りの感情が消えないでいる。
前回のブログから引き続き、切ない話しばかりを記しているが
生きるということの重みを感じている。



お彼岸につき、おはぎを作ってお供えした。


白いハギの花が秋を象徴させる。