きりっと眉!

汗をかかなくなるとメイクアップが愉しい。
秋色のファッションとともに、顔の装いも
少しだけ念入りにしてみたくなる。
化粧は化けるというけれど、わたしは装うという意味合いが好きだ。



年齢はみな平等にやってくるけれど、人それぞれ
重ね方によってずいぶん差が出てくる。
顔の表情、化粧の仕方で生き生きと変わってくるから侮れない。


マッサージなどふだんのお手入れとともに、
重要視していることに「眉の手入れ」がある。
眉のカットひとつで見違えるように顔にメリハリができる。
また眉の描き方でも垢ぬけた感じになる。
わたしは、自分のゲジゲジ眉が手に負えないので時々プロの手に委ねる。
美容室や知人に頼むこともある。
少し整えた眉が、齢を重ねた風貌に少しの
彩りを添えてくれる。


また下手ながら女性の絵を描くことがあるわたしも
「眉と目」を入れるときには緊張する。
息を止めて一気に仕上げる。
たかだか未熟なそれ一枚でも、そのことで絵が生きて
来るから不思議である。
『画竜点睛を欠く』と言われる所以である。


※※※


眉の形ひとつで、その人の印象が変わることがある。
どんな眉を描こうと個人の好みと言ってしまえば
その通りであるが江戸時代の眉化粧は、身分、階級、
未婚、既婚などを表す重要なものであったらしい。


一般庶民の若い女性は、顔の形に合わせて眉を描いた。
短い顔は細く三日月のようにし、長い顔、大きな顔には
少し太めにした。


下ぶくれには太く、瓜実顔には少し薄く作った。
そして結婚が決まるとお歯黒をして、子どもができると眉を剃った。
歌麿や英泉などに描かれた眉のない女性に最初は違和感があったが
事情がわかってみると、かえって年増の色っぽさを感じる。


一方、上流階級の女性たちは、15,16歳になると眉を剃って
額の上部に別の眉を描いた。
生まれつきの眉を「ぼうぼう眉」といい若い女性たちは
顔に合わせて、糸眉(三日月眉)などに整えた。

※※※

ということで眉の形一つとっても歴史があることを
過日のN紙の朝刊「日本の化粧10選」欄で披露していて
なかなか面白い。


メイクもファッションも装うことを、愉しみたい。
特に眉にはこだわりたいわたしである。