寝るのがお好き?

小春日和のいま毎日、布団を干せることが何よりうれしい。
日なたの匂いをたっぷり吸いこんだ布団に潜り込める。
それだけで、ふんわりとしあわせを感じる。


わたしは「寝る」のが好きだ。
一日のなかで朝が一番好きだが、夜の就寝タイムも好きだ。
かつて、バタバタと忙しい日を送っていたころ
「ああ極楽、ごくらく!」などと布団のなかに入るときの
安らぎを口にしていたものである。
今はその極楽が、すっかり日常化してしまっているが
それでも寝ることが好きだ。


先日ふっくらとした取り込んだばかりの布団を
和室に重ねていると、夕方チビたち(孫)が突然やってきた。
「ばぁばんちの庭」で遊びたいとチビたちがいい
幼稚園から帰ったあと、やってきたようである。


ひとしきり、砂場やブランコで遊んだあと携帯から
ママが電話してきた。
「今から行ってもいい?」
あいにく、わたしは出かける前だったけれど
少しの時間ならとOKした。


ふたりは、仏壇のじいじにカンカンカンと大きく鐘を打ち、
あいさつをすませるとお供えのお菓子をパクついている。
そして、やれ「パンを焼いて」「リンゴをむいて〜」などと、とせがむ。
4つ切りにしたトーストに手作りのリンゴジャムを乗せてやると
「おいしいなぁ」ふたりは満足気である。


セピア色の陽がリビングいっぱいに伸びている。


そうしているうち、下の花楓(かえで)が畳んである布団に突進して
顔をうずめると、ニコニコとうれしそうな顔でいう。


「ばぁば、おふとん敷いて〜〜」
「えっ?」
「最近、この子寝るのが好きなのよ〜」
「家でもいつの間にか寝室のベッドに潜り込んでいるの」とママ。


眠ってはいないようだが、布団の温もりが
気に入って、顔をうずめて遊ぶらしい。


そして布団の中からママに命令する。
「ママ○○持ってきて〜」
「ママ、○○ほしい〜」
「いい加減にしなさい!」ママは怒りながらも
そのしぐさに頬ずりしている。


「ワタチ、もうすぐおねえちゃんになるの」
おしゃまな声で教えてくれる。
来年3月に潤平たちのところに家族がひとり増える。
男の子のようだ。


寝ることが大好きなばぁばと、布団に潜り込むのが
お気に入りの花楓(かえで)・・・
寝る子は育つぞ。
ささやかな日常に気持ちが満たされる。