「ポジ出し」

初めて耳にする言葉である。
NHKの若手知識人だけを集めた討論番組のなかで
一人の参加者が出した造語だという。



人との関わりのなかで非難や、あら探しをする「ダメ出し」が
幅をきかせる議論はやめてみんなでポジティブ、つまり
前向きな改善策に知恵を絞り、行動する方が大事だという発想らしい。


確かに、非難するより相手を受け止め、良い方向に導くほうが、
建設的であり人間関係はうまくいく。


先日シニア・ナビでおしゃれな猫さんがブログで
叱るのと褒めるのはどちらが先か」と触れていた。
彼女は自宅で英語を教えていて教え子に対する叱咤激励に悩んだようだ。
「先に叱ってあとで褒める」]ほうを、実践していたけれど
どちらが効果的なのだろうか、と懐疑的である。
先に褒めて、あとで叱るのも嘘っぽく聞こえないこともない。
なかなか難しいところである。


人が生きている限り、このことの示唆するものは大きい。
他との信頼関係を築く上でも重要で、褒めたり叱ったりは、
相手に対する慈愛がないと出来にくい。


人にモノを教えることに限らず、会議の席上や議論の中で
異論を唱える場合も、同じである。
相手の言葉に耳を傾け、一度受け止めてから、
こちらの言い分を言うようにする。


わたしは、相手に苦言を言いたいとき、どちらかというと
先に相手を褒めることが多い。
たくさん言いたいことがあってもまず、
相手の長所を探し、しっかり伝える。
(そんなとき、内心声が震える感じがしているけれど・・・)


そのうえで「方向性や、欲を言えば・・・」ということを
加えるやり方である。
みなそれぞれ、長所も短所もあり、
欠点だと思っていたことが長所である場合もある。
複眼でモノをみることも大切になるようだ。


若葉の季節、新入生が町を闊歩している。
今の時代、わたしたちの就職した右肩上がりの頃と違い、
混沌としていて、しんどいことも多いだろう。


若い世代を前向きに受け止め生かすのも、年長者の役目かも知れない。
ダメ出しで応じるのではなく、ポジ出しで向き合う策が必要とされる。


「ほめるとは人の価値を発見すること」
過日の日経コラムの記事からみつけた。