黄昏流星群

「老人にだって恋心がある。人生の黄昏時にだって激しく輝く愛がある。
弘兼憲史が、そんなコミックの未踏の領域に渾身の力で挑む」
「黄昏流星群」は、おなじみ弘兼憲史の漫画である。



先日シニア・ナビのまこさんが里中満智子の歴史漫画を
読んだことをブログに書かれていて懐かしく感じた。
里中満智子は大好きで子どものころ、よく読んだ。
機会があれば歴史モノを読んでみたい気がする。


同じように好きな漫画家に弘兼憲史がいる。
政治の世界をわかりやすく描いた『加治隆介の義』や
人間の心理や社会の裏側を鋭く突いた『人間交差点
課長島耕作』などは迫力があり、ずいぶん熱中した。
息子が読んでいたのを借りて読み始めたら、やめられなくなったのである。


以来、弘兼憲史の他の作品にも目がいくようになった。
わたしが40代後半のころだったかに前述の『黄昏流星群』を
広告でみつけ、密かに愛読した。


男性向け週刊誌『ビッグコミックオリジナル』に掲載されており
発売日になると、本屋さんで立ち読みをしたものである。
いくら活字好きでもそれは、買わない。
単行本も相当数、出ているはずである。


『黄昏流星群』には、仕事のできる渋いオトコと、
小股の切れあがる妙齢のオンナがいつも出てくる。
オンナは決まって、オトコに尽くすのだ。


描写もリアルだ。
男の着るスーツの色やシャツ、ネクタイの柄、
ズボンの裾もシングルであったりダブルだったり。
靴も時代を映すデザインのものを履いている。

女のファッションだって粋である。
髪型や、口紅の色に至るまで生々しく、そして知的な女性像である。
おんなのわたしでさえ惚れそうになる。


巻を重ねたところで映画にもなった。
映画館ではワインつきだったのを覚えているが、やはり原作ほどの
おもしろさはなく、少しがっかりしたのを覚えている。


でも、ほのかに甘く切ない大人のラブストーリー。
小説以上にときめく、このような情緒的な恋愛ものが今は少ない。
小説は、勝手に想像を膨らませるが、漫画は観た通り伝わる。
そういう意味で、おもしろい。


昨夜は、期せずして『60歳のラブレター』をテレビで
やっているのを見た。
この原作は読んでおり、涙ポロポロだったのを覚えている。


定年退職後、若い愛人のもとに走り妻を捨てた男
糖尿病の夫の検査についていき重篤な病気が発見された妻
そして医者でありながら妻のガンを見抜けなくて自信喪失した夫。


3組の晩年の夫婦の再生物語であり
新たな出会いの恋愛ものでもある。


60歳も不惑の歳のようである。
ほんわかと恋をしながら歳を重ねるのも素敵だ。
弘兼憲史の漫画に出てくるいいオンナは演じられなくても
いい感じに生きたいなぁと思う。