京都国立博物館で開催されている。
連休のさなか、さっそく観て来た。
先日のいけばな展のように、大混雑かと思いきや
意外なほど空いていて、拍子抜けした。
館内の照明を落とした暗い中での観覧だからちょうどいい。
何しろ1000年も前に書かれた日記や書を読むのである。
人の頭ばかりだと読めない。
高貴な宮廷の匂いがしてきそうな中、
ガラスに顔をくっつけるように見入った。
数々の記録を子孫に伝えるために事務方がいたのは驚きだ。
それだけ「残す」ことが重要視されているということか。
貴族としての教養を体得するための和漢の典籍や「歌合わせ」を
中心とした文学関係の写本類の優品が揃い、
また、天皇をはじめとした貴紳と
の交流が垣間見られる作品も重要だということである。
京都・右京区にある陽明文庫は、昭和13年(1938)、
近衞家(このえけ)29代当主で内閣総理大臣も
務めた近衞文麿(このえふみまろ)によって設立された。
公家の中でも名門中の名門にあたる五摂家
(摂政や関白に任ぜられる家柄)の筆頭である近衞家は、
平安時代を代表する貴族・藤原氏の直系に当たる。
近衞家は、平安時代に最高権力者として栄華を極めた
藤原道長から数えると1000年以上続いており、
歴代には書の達人であった17代信尹(のぶただ)や、
博学多才の士として知られた21代家凞(いえひろ)など、
一流の文化人を多数輩出している。
通常は一般公開、されておらず、限られた時期に事前予約の
あった団体のみが観覧できる陽明文庫だということである。
ということで華やかな王朝文化を愉しんで来た。
国宝・御堂関白記
平安時代を代表する貴族・藤原道長(966-1027)の自筆の日記。
道長33歳から56歳までのおよそ24年間にわたる日記が、自筆本14巻、
古写本12本として今日まで伝わり、すべて国宝に指定されています。
[:]
国宝 倭漢抄下巻 伝藤原行成筆 部分
流麗な墨文字と、縹(はなだ)色(薄水色)や橙(だいだい)など
様々な色合いの料紙が、あたかも舞を競演しているかのように、
目の前に広がります。
柔らかな色合いの上に亀甲や唐草、鳳凰などの装飾文様が刷り出された美しい料紙は、中国からの舶載品。当時は非常に高価で貴重だったものです。
それを32枚も継いだ巻物に、中国の白楽天(はくらくてん)らの漢詩文と、
紀貫之(きのつらゆき)や柿本人麿(かきのもとのひとまろ)らの
和歌の数々がしたためられています。
平安中期に日本固有の美しさを確立した和様の文字(かな)と、
類まれな優雅さを誇る料紙との見事な調和に、王朝文化の粋を
見ることができる至高の名品です。
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賀茂祭絵巻 部分 陽明文庫蔵 江戸時代(18世紀)
平安時代に「祭」といえば賀茂祭のことを指しました。
盛大な祭儀がおこなわれる賀茂祭の行事次第を描いたこの絵巻は、
文永11年(1274)に行われた祭の様子を描いています。
四季花鳥図屏風 酒井抱一筆 右隻 陽明文庫蔵
江戸時代 文化13年(1816)尾形光琳(1658〜1716)から
およそ100年後の絵師・酒井抱一(1761〜1829)によるもの。[:
博物館のHPから画像などをお借りしました。
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