必殺掃除人!

何やら、いかめしい表題だ。

何のことはない掃除のことである。

最近、わが家の掃除が疎かになり、ついに仏壇までくすみを増してきた。

 

 疎かになった理由はいろいろ、ある。

ひとつには、ズボラ、そして日々の暮らしの中での、優先順位である。

脳の働きが活発な午前中は、できるだけ早くパソコンの前に座り絵を描きたい。

零細教室のレッスンがない日は、特に午前の時間がもったいない。

掃除などが後回しになり、習慣化された所以である。

 

独り暮らしは気楽なものだ。

埃で死なないという信条のもとに、マメさが無くなってきている。

 

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 過日、夫の偲ぶ会をやったとき、珍しく仕事で忙しく

ちゃちゃと埃を払い、お花だけを盛大に活け、出来あいのお刺身と

果物とお饅頭だけの簡素なお供えになってしまった。

いつもなら故人の好物を何品か作るのだが・・・。

 

 「ええ~っ、お母さん、こんだけ?」娘が驚いていた。

彼女は手造りのいなり寿司や、茄子の煮びたしを

息子夫婦は、彼らの好物の焼き肉をということで

2キロほど肉を持参した。

 

 わいわい、ガヤガヤ・・彼らが子どものころの思い出話しや

夫の悪口?を肴にしゃべり、それぞれ帰路についたのだが

娘には仏壇の「汚さ」が気になっていたらしい。

 

 「今度の日曜、仏壇の掃除しにみんなで行くわぁ」

「お昼ご飯、持っていくわぁ!」

見かねた娘夫婦がわが家に磨き道具一式持って

仏壇の掃除をしにやってきた、というわけである。

 

 「ひゃぁ、ありがたいコッテス」

老いては?子に従え・・・だ。

わたしは、チビたち相手に遊んでいたらいいのだ。

 

 娘夫婦が用意してきた昼餉は近くの回転すし屋さんで

握ってもらった鮨と、揚げたての天ぷらなどである。

わが家には昨晩の「肉じゃが」などが残っており

「きゅうりのぬか漬け」などと一緒にみんなで食べた。

 

 ひとりで食べるより、みんなで食べる方がおいしい。

潤平もかえでも好物をつついている。

歩き出した1歳のソウスケは

ニコニコと忙しそうに、おとーさんやママや

お兄ちゃんたちのところを廻っている。

歩けるということは自分の意図したところに行けるから

うれしくてたまらない。

達者な這い這いと並行して部屋中を歩きまわっている。

 

時々テーブルのものを手でつまんでは、おとーさんに

「めっ!!」と一喝され、ママの肩に隠れて大泣きする。

「パフォーマンスやねん!」と、ママはそっけない。

「ソウスケはときどきウソ泣きするねん」と、兄貴の潤平。

1歳の「王さま」の演技に皆は、笑いながら食べることに忙しい。

 

 昼食を終えると、チビたち3人を連れて住居内の公園で

ソウスケを抱っこしてシーソーやブランコに乗せる。

きゃっきゃっと声を張り上げ喜び、うっとりしている。

たまに芝生の上に立たせると、足をぎゅっっと縮め

いやぁな顔をしてぜったい立とうとしない。

裸足で砂場に立たせてもイヤがる。

 

なんや、いつのまに「おぼっちゃま」になったのだ。

もっと逞しくなりやぁ~~~。

 

 上ふたりは滑り台のてっぺんでまで、ケンカをしている。

「おとーさんに言いつけたるから!」

口達者なかえで(4歳)が宣言し、

「ごめんよ~~~」

いつも謝るのは兄貴のほうである。

まったく、よくも飽きずにやるものだ。

 

 かくしてたっぷり青空の下で遊ばせ

わが家に戻ると、掃除が片づいている。

位牌も外に出し、から拭きをしたようでピカピカになっている。

わが家の仏壇は、わたしが嫁入りするずっと前の

昭和40年ごろに白木の宝前に変えたらしいことを

掃除のなかで、出てきた書きつけで初めて知った。

頓着のない親である^^

 

 タンスひと棹分ぐらいもあるそれは

何の手入れもせずにいたら、今や亜麻色に変わっている。

 

 まさか、孫の手によって磨きあげられるとは

鬼籍の住人の祖父母は思ってもいなかったに違いない。

可愛い手を合わし、「じぃじ、また来るからね~」と

元気よく帰って行った孫たちに、夫は目を細めているだろう。

 

 久しぶりにわが家の仏壇が輝いている。

ズボラの頻度を少し下げなくては・・・

娘夫婦の必殺仕事人ぶりをみてそう思った。

ありがとうね。