世界遺産と相成った富士山が、空前のブームである。
山ガールも、ファミリー層も、こぞって富士山詣りに、余念がない。
ツアーも写真愛好家のために、盛りだくさんの「富士スポット」を
用意し、旅行者を誘う。
一昨年だったかに、箱根へサークルで旅をし「山のホテル」から
満開のツツジとともに観た富士も最高だった。
芦ノ湖畔から眺めた富士も妙に色っぽかったのを覚えている。
大涌谷をケーブルから眺めた時も雲の間に
富士が隠れたり現れたりしていたのを写真に
頓着ないわたしは、ぼーっと眺めただけであった。
惜しい。
あこがれだ。
登っても、近くでも見ても、遠くから眺めても、絵になる。
8月中旬ごろのことである。
駿河湾上空だと思うのだが、眼前にコバルトブルーの海が
吸い込まれそうに深く、無限に続く青い空に、
淡いグラデーションに彩られた雲が、無限大な広がりを見せている。
冠雪していない富士の頭が、幻想的なブルーと一体になって輝いていた。