≪パソコン絵画≫東大寺裏参道を描く

大寒は今月20日、それから10日ほど後の2月3日が
節分で翌4日は立春である。
ここ関西では『奈良のお水取(3月1日−14日)が
終わると本格的な春になる』と言われている。

お水取りと二月堂
『お水取り』とは仏教寺院の行事で、特に華厳宗大本山東大寺
(南都六大寺)の『お水取り』が有名である。
正式名称の修ニ会(しゅにえ)は1250年余連綿と同寺二月堂(国宝)で
12日の深夜から13日早朝にかけて行われる『若水汲み』で、
それを『お水取り』と呼ぶようになったとある。
また建物もこの行事から二月堂と呼ばれるようになったと
東大寺の案内書は伝えている。

昨年11月晩秋の奈良を楽しむため、浮見堂から春日大社・若草山・二月堂を経て
東大寺金堂(大仏殿)を散策した。
11月13日のフログ


二月堂から東大寺塔頭である中性院(東大寺の別当=管首が居住)の脇を下って
講堂跡に向かう裏参道が、古都奈良の風情を伝えている。
今年の初画として描いてみた。

この場所は多くの画家や趣味人を引きつけて、絵画のモチーフになっている。
右は中性院の土塀で、右側から中央に向かって上方に駆け上がり
上下の中心点から少し左寄りに建物に連なっている。


この土塀は粘土に菜種油と藁をいれて固めたもので、
瓦が填められて凸凹している。
また土塀の上部は天平の甍を偲ばせる燻し銀の
紋入り瓦で化粧がなされ、土塀の黄土色との調和が妙である。
ちなみに、中性院そのもの正面玄関の写真を下記に掲載する。


左側の土塀は右の土塀と趣が全く異なる白壁で、
下部には石が填められ武家様式である。
この二種類の色の異なる土塀が向かい合う参道は、
ここしか見られないのではないだろうか。


この両側の土塀に挟まれた道には几帳面に組まれた石畳が、
さらに散策する者を古都に誘っている。
その石畳は、石段に連なり二月堂に続いている。



中性院


こうして鑑賞していると、この景色は、かの『黄金比』では
ないか!と感じた。
実に見事なのである。

黄金比

黄金比』とは、数学、建築、美術や自然界(樹木や花)に
ある定義で、縦と横の最良のバランスをいうものであるらしい。

描く対象がこの黄金比に収まっていると、
どっしりと安定感のある作品になるという。
美術の世界では、ミロのビーナスや、葛飾北斎
『富嶽三十六景』が有名である。