「家庭画報に、わたし載っています」

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知人からの賀状に添えられている文面には

「もう、古希、よく生きたもんだ!

でもこれからが人生 

この世でお役に立つ人でがんばりたいです」と、ある。

そして冒頭の言葉で結んである。

 

そのひと言で、彼女の現在が推し量れると言うものだ。

 

家庭画報と言えば女性雑誌の王様とわたしは思っている。

何しろグラビアが群を抜いてきれいだ。

ハイソな感じで、最近こそ購読していないが

かつては仕事柄、長年愛読していた雑誌である。

 

その「雑誌の王様」に載るとは?・・・

いったい何で?

正月早々、さっそく本屋さんでページをめくってみた。

見開き2ページ、堂々の掲載である。

 

4人の熟年世女性が、着物姿やドレスアップしたスタイルで

あでやかに映っている。

そのなかにバーミリオン(オレンジがかった朱色)のジャケットに

同色の柔らかいスカーフを巻きこんだ彼女が一段と輝いて見える。

 

メイクもプロの手で施されたのだろうか

往年の女優さんとみまがうばかりの美しさである。

 

70歳でこれだけ若々しく、きれいだと、そりゃぁ

賀状にも、見てくださいと書けるなぁ・・

わたしは、ひとり感心し、見とれた。

 

想像していたけれど、やっぱり!だ。

何を想像していたかというと彼女の現在の仕事を、である。

 

彼女T子は、管理栄養士という身分ながら、ある食品新聞社で

メーカーと小売店での新製品のコーディネイトを長年手がけていた。

見るからに、はつらつと「仕事の出来る」タイプで尊敬もしていた。

 

そのT子が、60歳の定年で職を辞したあと、どうするのかなぁと

他人ごとながら思っていると、事業を始めたのである。

 

夫さまは、彼女の定年数年前に大手の商社を退職し

のんびり暮している、と聞いていたから

これから二人で悠々自適を愉しむのかなぁとも思っていた。

 

さもありなん!という気はしていたが始めた仕事は

聞いたことのない化粧品会社である。

シンプルな下地だけ、で素顔感覚を大事にする化粧品と

謳っている某メーカーだ。

ハイカラな名だが、日本の化粧品なのか外国製なのかも

知らないでいた。

 

化粧品などに関して疑念をいだくわたしは、彼女が

そのことに着目したことにも驚いたが

いくら社交性があり、仕事ができると言っても

ある程度の肌の素養も必要とされるのではないか?と

失礼ながら感じていた。

 

お顔の造作は、目鼻立ちがはっきりして

かつては美人だっただろうなあと想像できる。

今でも、もちろん美人の類だが。

でもお世辞にも肌がきれいとは言い難い。

だからこそ、それを克服しビジネスとして成り立つのだろうか。

 

2年後ぐらいに彼女と会うことになり、その変貌に度肝を抜かれた!

大げさではなく、浅黒い彼女の肌がみごとに白くなっていたのだ。

メイクをせずとも充分人さまの前に出られる。

 

当然のように、彼女がビジネスとしているその化粧品を勧められ、

仕事として一緒にやっていかないかと誘われたのである。

そのときの彼女の年収が2000万!

ウソか本当か通帳などを見た訳ではないからわからないが

事実だとすれば、すごいことでは、ある。

 

まったく畑違いの仕事を、ここまでやれるとは!

大の男でさえ、いまどきこれほどの収入を得るのは並大抵ではない。

「夫の年金はすべて夫のおこづかいよ~」

彼女は、言ってのけた。

 

世に数多ある化粧品ビジネスにわたしは関心がないので断ったが、

T子は「役に立つ」仕事という位置づけで

真剣に取り組み、今があるようである。

 

はぁ~~・・・

あれだけのグラビアを飾るのは、それなりの地位の

裏付けがあってのことだろうと、彼女のまぶしい活躍に

密かにエールを送っているところである。