昔むかしのこと・・・

 

20年以上も前のことである。

広告宣伝の職で、デスクにへばりつき職人のように制作業務を

担っていたころのことだ。

もちろんアナログの時代だ。

今のように簡単にゴシックや勘亭流などの文字がPCで出せない時代だ。


ポスターカラーを練り、筆で文字を描き、キャッチコピーをひねり出す。

毎度締め切りとの闘いであったが仕事は好きで、のめり込んでいた。

何より家庭には病人を抱え、暗くなりがちな自分を救ってくれたのは仕事だ。

没頭し,達成感を味わうことで心身のバランスも保てたようなものだ。


昨今のように、派遣や非正規雇用で給与の搾取があるわけでもなく、

福利厚生もそれなりにきちんとしていたから再就職しても何ら遜色なかった。

そんな職人風の仕事の合間に、いろいろ遊ばせてもらった。

経費をたっぷり使え、まったく、いい時代だった!


同じ営業企画のグループから「着物のファッションリフォーム」の

ファッションショーを提案されたのだ。

畑違いの、初めての経験である。

友人N先生がこの道のプロで企画の依頼人でもある。

いま思えば当然だけれど、N先生も若かった。

デザインの傍ら着物のリフォームの店を百貨店や

大型小売店舗のテナントに3店ほど持っていたやり手だ。

 

着物のリフォームと言っても一からデザインを起こし

男物の羽織や絽の着物も、絵画的要素の高い豪華で上質な帯も

世界で1枚の、ジャケットやワンピースに生まれ変わる。


わたしもNさんの好意で鮮やかな帯で作ったノースリーブの

ワンピースや、留袖を渋い茶色に染め直したミニのワンピースと

お揃いのボレロ、そしてツーピースなど作ってもらった。

恐縮することに、すべてN先生の自前である。

 

めったに着る機会はなかったが、バブルの全盛時代だ。

それでもホテルでの食事会に招かれたときに、着た。

当人より、いつも服が目立っていた()

 

そんな流れのなかで、他のスタッフとともに

「ファッションショー」を半年がかりで準備した。

モデルは全員募集し、歩き方の訓練から笑顔の出し方など

プロに依頼し、素人ながら何とかショーを成功裏に終わらせた。

今では、企業も余裕がないから、とても出来ない冒険である。

 

以下はプロによるリフォームのファッションショーである。

200枚近くある写真から好きなドレスだけをピックアップしてみた。

モデルはドレスの制作者か、もしくは制作者の知人友人だそうだ。

背筋を伸ばしメイクやヘアもばっちり決まっている。

歩き方も堂にいっている。


とても着物のリフォームとは思えない斬新さとおしゃれ度だ。

ここ数年のものであるらしい。

NさんからB2サイズのボードの制作を依頼され、

久しぶりにリフォームのドレスを目にした。


そして、かつての楽しい「お遊び」を思い出した次第だ。

 

追記

数人の方にお出まし願っていましたが

N先生ご自身の写真のみ残し、省かせていただきました^^

ご覧いただきありがとうございます。

 

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N先生である。70代半ばだがこの凛としたポーズ。

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もちろん、今も現役だ。

 

写真は、リフォームスタジオ株式会社からお借りしております。

 

週刊はてなぶろぐお題

「2014年プライベートでやりたいこと」

「160円の旅」がピックアップされました。

皆さまのおかげです、ありがとうございます^^