ご存じ、映画の「クレイマー、クレイマー」は、自立心に
目覚めた妻が家を出ていき、小さな坊やを父親が見るはめになる。
わが娘は自立にはほど遠いが、ひと月ほど前からアルバイトを始めた。
アルバイトと言っても週に2回、3~4時間ほどだ。
家には、ようやく2歳になったチビスケがいる。
チビスケの面倒と、5歳児の幼稚園の送迎を婿どのが引き受けている。
婿は今年から、自営の料理屋の就業時間を変更したから
午後2時過ぎまで時間があるのだ。
子ども3人が次々と生まれてから、おむつを替えたり
どっさりある洗濯ものを干したり、遊んでやったりと
本能的に子煩悩な面があり、ママは助かっている。
留守のあいだ、2歳と「トーチャン」は、ふたりで蜜月を過ごす。
自転車に乗せて公園に行き、ボール投げをしたり
ブランコに乗ったり、「トーチャン」を一人占めできる。
本当はママのほうがもっともっと好きで片ときも離れたくない。
トーチャンは、眠たいときにグズるチビを、寝かしつけるコツも覚え
嬉々としてイクメンを愉しんでいるようである。
あるとき、チビたち3人と一緒に車に乗り、走っていると
車窓に映る、うどん屋さんを見て「めん、めん、めん!」と
2歳が叫ぶではないか。
「あの店に二人で入ってンて!」運転しながらママがいう。
こんな小さな子でも、走る車の中から「めんの店」を識別できるのだ。
大したもんだぁと感心していると・・・。
単語が増えてきたチビスケは、しゃべりたくて仕方がない。
何でも教えてくれる。
自分のクツ下のさくらんぼの柄を指さし
「いんご、いんご」と、得意げだ。
5歳が、サクランボだと言っても「いんご」がいいらしい。
そして、見るものすべてに「こぇ、なにぃ?」
語尾をあげて女の子のような高い声で質問攻めだ。
「にぃにっ」
「ねぇねっ」
「まぁまぁ~」
嬉しそうに、いつも遊んでくれるお兄ちゃんを指さし
ときどき本気でおもちゃの取り合いをするおねえちゃんに抱きつき
う~んと、甘えた声でママを指す。
そして父親を指さして
「こぇ、なにぃ?」
・・・・!!!
ママはびっくり仰天し、笑いを隠し、トーチャンが
2歳の言葉に気づかなかったのをほっとしている。
あんなに、遊んでもらっているのに
肝心の「トーチャン」は、覚えられないらしい・・・。
娘んちは、「ママ」、「トーチャン」なのだ。
「ばぁばっ」
にっこり笑って、ばぁばには自信たっぷりに指さし、飛びついてくる。
まったく、かわいいやつだぁ(^。^)y-.。o○
当分、婿どののイクメンは続く。
今が一番かわいい時だ。
二人の時間を愉しんだらいいよ~トーチャン。