道に迷ってしまったのだ。
大のおとなが・・・
いや年齢には関係ないか。
ハイキングや登山ではあるまいし、街中での迷子?だなんて
人に言うのも恥ずかしい。
運動嫌いのわが身にムチ打つように、日々歩くことを課している。
わたしのなかでは「仕事の一環」としての位置づけである。
川沿いの空気を吸いながら、草花や木々を見るのも楽しい。
梅が満開で、桜がほころびかけている。
アリの行列か、ゴキブリの通り道のように律義に
同じところを歩いている。
いつものコースも飽きるので、たまに変ったところを歩いてみよう。
以前は万歩計を持ち歩いていたが最近はもうそんなことに頓着しない。
わが家はJR沿線だが、娘の処は私鉄である。
見慣れた私鉄駅には高い、洒落たツインタワーがある。
わかりやすい。
そして併設しているショッピングセンターに園芸店がある。
特に火曜、土曜の午後3時には、入荷とあって目当ての花を
手に入れようとたくさんのひとが待ち構えている。
安くて種類が多く、新鮮野菜並みだ。
その園芸店を目指すべく、昨日は歩いた。
まともに行けば40分か、ゆっくりでも1時間ぐらいで充分行ける距離だ。
風は少し冷たいがポカポカ陽気の申し分ない天気である。
通りすがりのよそ様の庭の花を見るのも楽しい。
どの家も最近はクリスマスローズが首を垂れて鎮座している。
アジサイの花芽にわがやのそれと比べてみたり、飽きることがない。
そんなことを楽しみながら目的地のツインタワーを
目指すが、いつまで歩いてもたどり着けない。
何だか見知らぬ街に迷い込んだ気分だ。
まったく知らない道、建物・・・
いったいここはどこだ?・・
さすがに不安になり自転車の女子高生に訊いてみると
「あっちですよ~~」
ぜんぜん違う方向を指さす。
方向音痴の、方向音痴ゆえんだ。
ワタシらしい・・・。
道中、建て売り住宅のサンドイッチマンに聞いたり
道行くオジサンに訊ねたり・・・
ようやく見慣れた道路と建物が近づき、ほっとした。
携帯電話で時間を見るとわが家を出てから、2時間近く経っている。
どおりでくたびれるはずだ・・・。
トイレにも行きたくなったし早足で歩いた。
園芸店はちょうど入荷時間らしくカゴを持つ
買い物客でごったがえしていた。
疲れてしまってゆっくり見る気力もない。
ひと息入れてからじっくり見よう。
隣にあるホテルのラウンジで珈琲を飲んだ。
シフォンケーキの甘さが心地よい。
それにしてもこんな近い距離で道に迷うとは何と言うことか!
末が恐ろしい。
認知症のひとに多いと言う・・・。
いやぁ、疲れた、そして参った!