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老猫の介護

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知人の愛猫は「アルファ」という名だ。

プラス・アルファのアルファだという。

ご多分に漏れず、子どもが小さい時に拾って来た猫ちゃんであるらしい。

その子どもは成人してとっくに家を出ている。

 

猫の世話に熱心ではなかった子どもの代わりに

アルファは、知人夫婦のかすがいのようになり大切に育てられてきた。

箱入り娘ならぬ「箱入り猫」として、避妊手術や予防接種をさせてから

一歩も外へ出していない。

猫にしたら、ありがたいのかどうか知らないが・・・

食べものも、並みのキャッツフードではなく

上等の鰹節やハムなどを与え、人間よりいいものを食べているのよと

嬉しそうに話してくれる。

 

知人から「アルファ嬢」の気位の高さや、賢い頭脳の

持ち主であることを、ずいぶん聞いてきた。

一喜一憂、アルファが中心の家庭のようで猫ちゃんの

幸福度がわかるというものである。

 

そのアルファも今や、人間で言うと80歳ぐらいの老猫になり

介護が必要になっている。

 

「本当に人間と一緒よ・・・」

「あのプライドの高いアルファがおしっこで失敗するようになったのよ」

「わたし、お姑さんだったらこんなに面倒をみてあげられないわ」

片ときも目が離せない様子で、最近は夫婦ふたりでの外出もままならない。

ヨタヨタと、階段をあがることさえおぼつかず、

何度も上がろうとしては落ちる・・・を繰り返す。

抱っこして連れて行こうとしてもぜったいさせないようなのだ。

 

トイレも我慢を重ねていたが、ついに初めて、キッチンの隅で粗相をした。

だからトイレを2階から移動させたの・・という。

運動も食事の量も減って来たアルファはウンチが、なかなか出ない。

お腹をさすってやったり、食べ物に配慮したり、ますます人間の手と

愛情が必要になった。

「アルちゃん、ウンチが出来るようになろうね」と

排泄ができたときは一緒に喜び、カレンダーにマルをつけていると

終わったあと、誇らしげにカレンダーを見る!らしい。

 

人間の尊厳を見るようだ。

 

日に日に弱っていく愛猫の姿に自分の老後を重ね

「最期は、こんなふうにわたしもなるのかと思うとやりきれないわ」

「でも精いっぱい、世話してあげたら悔いないと思う、と主人と言っているの」

 

冷暖房もアルファのために快適温度にして外出中もそのままにしていると言い

夫婦はアルファを家族の一員として慈しみ、最期を看ている。

何としあわせな猫の老後だろうかと思う反面

経済的にも大変だろうなと推測する。

追記・・

知人夫婦の両親は双方とも他界して、いない。