熟年結婚の顛末

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「だめよっ、ぜんぜんアカンわ~」

「熟年の再婚ってやっぱりむつかしいわね~」

「このあいだも、あれだけ仲睦まじくやってた彼女が相手のとこから

逃げ帰ってきたのよ・・・」

逃げ帰ったとは、穏やかではない。

 

「彼女」とは、再婚を世話した女性のことであり

逃げ帰られた男性は別の相談所の会員さんであるらしい。

結婚相談所歴20年以上になる友人が、スカイプでの雑談のなかで憂える。

守秘義務もあるし、なんでもベラベラ打ち明けるタイプではない友人も

さすがに、熟年の結婚に対してはこの先展望なしとみて、ため息をつく。

 

もちろん、結婚のキューピッド役は熟年だけに限らない。

あれこれと今風のおしゃれなパーティを開いては、

若い男女の出会いの場を作り、結婚に導く。

いまどきの未婚の男も女もシャイなのか、はたまた出会いがないのか、

そんなに若くはない独身者も多く、相談所にゆだねる人も少なくない。

そんななか、自らが世話した会員がめでたくゴールインすると

我がことのようにうれしい。

それに何より成婚は大きな収入の要なのだ???・・。

 

成婚っていうのは、ひとつまとまると連鎖するようにやってくるらしく、

そのときの友人の誇らしげな顔ったら・・

結婚したカップルは、後々ずっと友人の「友」のようになり、食事に招いては

あれこれと助言したり、面倒をみているようであり、夫婦に子どもができると

わが子のように喜ぶ。

仕事冥利に尽きるときという。

 

一方で離別や死別を経験したひとの再婚願望は、最近の天変地変の危機を

予測してか、ひとりを心もとないと憂えるのか、年々増える傾向にあるという。

 

一般的に熟年世代のカップルが相手に臨むことは、女性は経済力、

生活の安定であり、男性はハウスキーパー的な側面を望む。

性的なことに関しては女は期待薄、男には最大の魅力でもあるらしい。

 

相手の人間性も、もちろん考慮し、よほど虫が好かない相手でない限り

若いときの「インスピレーション」などは、あまり重要視しない。

現実に直面している双方の「困りごと」解決のために、一緒になるケースもある。

 

お互いの利害が一致し、しばらくは蜜月が続く。

男性の経済力に応じて国内の旅や、海外旅行を一緒に楽しみ

女性は特に、グルメ三昧の生活やカルチャーさろん通いが楽しくてならない。

 

しかし・・・

似たようなしあわせを満喫しているかに見える夫婦に破綻は突然訪れる。

男性は、のんびりしていて女性の心変わりには気がつかない。

魔法の薬が溶けたかのように、はたと現実の暮らしに興ざめするようである。

 

再婚に付きものの、財産のことに関する揉め事が一因していて、

覚悟していても煩わしいと感ずる。

そうなれば、坊主憎けりゃ・・・の感で「食事作るのいや」

「一緒にベッドに入るのイヤ」ということになり、

ぎくしゃくしだし、女性が家を出るというパターンだ。

 

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わが家のバラたち

 

老いてからが特にパートナーの存在を必要とする時期に

見限られた男のほうに気の毒な感がないとも言えないが、

付け焼刃のように一緒になった夫婦だ、別れるのも早いのか。

 

今や老いてから死を迎えるまでの終末期に、伴侶の介護を余儀なくされるのは

当然のようにあり、再婚にはその覚悟も要る。

でも相手を慈しみ、最期まで手を携えて面倒を見れるのは長い年月

子育てを一緒にし、苦労をわかちあった者同士だからできること・・・

「我慢して相手に尽くす」ことを美徳としない女性もいる。

 

熟年再婚の場合は、心情的な思いが希薄だから離婚に至るのでは?と

相談所の友人は分析し、悲観的な見方をする。

 

しかし、わたしのまわりにはしあわせな熟年カップルがいる。

きちんと籍を入れ同居しているひともいる。

入籍も同居もしていないが相手を生涯の伴侶と思い、大切に

いまを育んでいる人もいて、そんなカップルにこちらもエールを送りたい。

 

結婚の形も過程も様々だが、一番肝要なのは相手に心底、惚れているか!

一人より、ふたりがいいと思えるような、お互いの熱い思いこそが

カップルの長続きの要因でもあるように思える。

 

いつの世も「愛に勝るものはない」とアオ臭いことを考えるわたしだが

果たして・・・これからいかに?