顔をフグみたいにぷ~っと膨らませ、小さな手で丸いこぶしを作ると
あごの下に構えてポーズを作る。
「ママ、こう?こう?」2歳のソウスケが、確認している。
岡山へ向かう車の後部座席で、3人仲よく遊んでいるかと思うと
そうは問屋が卸さない。
それぞれが自分のゲーム機や絵本や車などの遊び道具を持ってきているけれど
静かに過ごすのは、数分と持たない。
ぎゃぁぎゃぁ~、ぎゃぁ~、やれ、足を踏まれた、顔をくっつけられたと、
逐一2歳が、涙をあふれんばかりにこぼし、ママに言いつける。
ときどきウソ泣きもあるから、ママとて用心しないといけない。
いつも2歳ばかりをかばってやるわけにはいかないからだ。
最近は、しゃべりも達者になったソウスケは、小さなことも見逃さない。
わが身が不利と思うと、オーバーにママに訴え、にぃにたちに
一人前に突進したりするも、うまくいかない。
小競り合いをしたり、一緒にゲームをしていたかと思うと、次の瞬間、
5歳が泣いていたり、しようもないことで2歳を泣かせてみたり・・・
車のなかはセミの大合唱より、うるさい!
ママも、いちいち、聞いておれないので、2歳に
「やられたら、やりかえしてこ~い!」などと
どこぞの、おやぢのような言葉で言い放つ。
そして2歳に「にぃにに、ぱ~んとやるんや!」などと
ケンカポーズを作らせ、仕方を教える。
言われたとおりに2歳は、丸く膨らんだほっぺと、(怒りを表している)
こぶしでポーズをとり応戦するが、ぷ~っと鼻水を出し、
息をふきかけるのがせいぜいである。
兄貴は、アハハハハと笑い、余裕をみせる。
それが悔しくて、眉をハチの字に寄せ、またママのところに
後部座席から這い出してきては
「ママ、こう?こう?」と、顔を膨らませ、ポーズをとり訊いている。
こんなことが繰り返され、ママでなくともうんざりだと思うのだが
すり寄ってケンカの仕方を請う2歳がママは、可愛くてならない。
ぎゅ~っと抱きしめては頬ずりしている。
まったく、小さなギャングたちと一緒にいると飽きないが、疲れる・・・
それでも、朝早くから墓参につきあってくれ
照り返しのきつい日中、汗を滝のようにしたらせ、草取りを
手伝って?くれる団子3兄弟。
ありがたいと思うべきか・・・
ワイワイガヤガヤ、賑やかに一緒に行動してくれるのは
いつ頃までかと、ふっと思う。
それでもいつかは、頼もしく「僕が運転するから~」といって
老いたばぁばを連れ出してくれる日が来るに違いない。
車のなかでケンカばかりしていた墓参を思い出す日が彼らにも訪れるだろう。
ケンカポーズを乞う2歳が、立派な青年になる日を夢みている^^
もちろん、上の8歳、5歳も楽しみだ。