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ハブラシ商法

 

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キャノンがアメリカに視察に行った際、コダックが本体のカメラ販売より

フィルムで儲けていることに度肝を抜き、その商法を取り入れたことは周知だ。

プリンター本体を安く売り、その分、インク代を高値設定してそちらで

稼ぐキヤノンの販売戦略を開始したのは、大当たりである。

 

追記しました。 

 詳しく述べると・・・

敗戦で打ちひしがれた日本ではあらゆる物資が不足して、

物持ちが金持ちであった時代と聞いている。

そんな時代を反映し日本の長者番付には、ゴムや木材などの所有者や

業者が羅列されている。

勿論、松下幸之助氏が、長者番付1位になるのは後年である。

そんな戦後には写真機メーカーや自転車とオートバイのメーカーが乱立した。

それらの中で現在世界に冠たる会社になっているのが、カメラ関係ではキャノン、

ニコンオリンパスなどであり、またオートバイではホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキである。

 

そのキャノンがカメラ・メーカーから脱皮し、今日の世界的企業になったのは、

後年同社の社長となった山路敬三氏に負うことが大であると、読んだ。

山路氏(1927年-2003年、76歳で死去。東京大学理学部を卒業後、キヤノンに入社。

ズームレンズの開発に携わったのち、30代半ばで非カメラ部門を担いキャノンを

総合機器メーカーに発展させ、社長となる。

後年スウェーデンの大手企業の日本現地法人である日本テトラパックの会長)が

米国を視察した際にコダックを訪問したことから、キャノンの多角化が始まった。

 

キャノンが当時のサラリーマンの1~3 ヶ月分の給与にあたる大金を払って

カメラを買っても、購買者はそのカメラを生涯にわたって使用するので、

会社は1度の販売と利益しか享受できない。

それに反して写真の消耗品である、フイルムやDPE は際限なく繰返しえ行われ、

消耗品販売の金額が遥かに大きいことに、山地氏はコッダク社で気づかされた。

 

それからがキャノンの遠大なる試行錯誤が始まり、まずは計算機の製造を着手し、

ついでマッキントッシュの総販売代理店になってコンピユターの製造を狙った失敗、

そしてファックス機、それから当時市場を占有していたゼロックス

同様のコピー機生産にいたる。

そのコピー機から、今日世界を制覇しているプリンター機の生産と販売である。

 

山路氏の消耗品商売は、その後のファックス機やコピー機のリースとメンテナンス、

更にそれらの機器の消耗品販売に至り、膨大に日銭を稼ぐ。

企業にコピー機などを貸しリース代を稼ぐ。

 

この手法も月々きっちり利を得るから本体を売るより稼ぎ頭になる。

それより、利益率の高いのがランニングコストで稼ぐ冒頭の戦略である。

カメラでもコピー機でも高価な製品を売るより、それにかかるコストを意識した

販売戦略のほうが稼げる。

1個の単価×数量であるから、バカにできない。

膨大な金額になる。

1個100円の(今は1000円のもあるが)ハブラシの宣伝に巨費をつぎ込める所以である。

かつて、ハブラシがその商法の代名詞のように言われていた。

外資の保険などは典型的な歯ブラシ商法である。

 

ネスレ日本が、独自開発のコーヒーマシンを活用してコーヒー需要を

開拓する記事を、過日の日経朝刊で読んだ。

 

喫茶店やスーパーや、高齢者施設に無償で、マシンを貸し付け

コーヒーの粉で儲けるという。

国内で1年に消費されるコーヒーの杯数は500億杯とされ、ネスレのシェアは

家庭向けが37%なのに対し、オフィス向けを含む家庭外は3%にとどまる。

一杯だけコーヒーを作れる独自開発のコーヒーマシンを使い

家庭外での需要を掘り起こすのだそうだ。

 

コンビニコーヒーのヒットなどで拡大傾向にある国内のレギュラーコーヒー市場に

対し、インスタントコーヒーが微減傾向にあることが背景にあるようである。

 

そのマシンを使うと一杯あたり20円程度で飲めるという。

病院や大学、消防署などにも設置し需要の拡大を狙うそうで裾野は広い。

なるほど・・・

先ほどのプリンタのインク商法ではないが、マシンは買えないが借りることはできる。

その粉の需要が計り知れない利益を生む。

 

ハブラシ商法・・・

恐るべしだ。

 

消費者も企業も潤うなら、知恵を出し切っての新たな販売手法を歓迎する。

わたし自身は最近、珈琲を飲む頻度が減っているけれど・・・。