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ファスナーから見る消費 (?)  

社会事象

 

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ファスナー製造、世界最大手のYKKの吉田忠裕会長(67歳)は

『世界の衣料は値下がりが続く』 という、見立てをしている。

 

表題は、日経新聞「月曜・経済観測」の9月15日 のインタビユ-・コラムからだ。

永年に亘って毎週月曜日に連載している

経済界の、それぞれの分野の、トップ企業の経営者との面談を

紹介するユニークな内容で人気が高い。

 

今回のコラムは・・・

ファスナ-の生産者から見た『世界の衣料消費の今後の動向』の推察である。

日本の着物やインドのサリ-などを除いた衣料には必ず付いている、

単なる付属物のファスナーの話しだ。

とても興味深い。

 

虫眼鏡から覗いた衣料宇宙のこの見立ては、なかなか独創的で、

真実を突いていると思える。

おもしろいので、全文を転記して紹介したい。

   

   ファスナ-を通してどんな世界経済の顔が見えますか。

「地球上を衣料品メーカー」が大移動する光景が見えてくる。YKKの取引先は上海だけで1万社、全世界で10万社に上がる。発注から納入までわずか3日の場合もある。物理的に縫製会社の近くで生産しなければならない。今は世界70カ国・地域に拠点があるが、縫製業が動けばどんな辺境までもついていく」

「5年ほどまえから地殻変動がおき始めた。ブランド名は日米欧さまざまだが、それまでの世界中で消費される洋服の実に3分の2が中国で作られてきた。しかし、人件費が年率2桁で上がり、縫製会社は次々と出ていった。行き先はベトナムカンボジアバングラデシュが多い。一部はインドを選んだ。中国の生産シェアは10%ほど減った」

 

脱・中国の動きはつづきますか。

「労働集約型の業種は、さらに中国から出て行くだろう。だが衣料品の縫製で中国のシェアは半分以下にならない。中国の内需が伸びるからだ。中国は『つくる場所』から『売る場所』に変わる」

 

東南アジアでも労賃は上がっています。

「製造の中心はどこに移るか。実は東南・南西アジアで『行き止る』になると考えている。経験的に資源国では縫製業は育たない。中東は難しいだろう。アフリカも細かい作業に向かない面がある。未開拓のフロンティアはもう残っていない」

「世界のファスナ-の需要は年400億本ある。1980円のズボンも19万8千円のスカートも縫い付けるファスナーは1本だけ。これらの通常品の価格は十数円だ。銭単位でコストを競うため、アジアで生産方法を進化させるしかない。今年末にはインドネシアで中核材料のワイヤ(線材)工場が完成する。米ジョ-ジア州、日本の黒部(富山県)に次ぐ第三のグローバル生産拠点となる」

 

アジアで需要が伸びれば価格もあがるのでは。

「縫製業への供給ネットワ-クを通して、その向こう側を見ると、更に世界の非耐久消費財の市場の変質がわかる。衣料品のデブレは止まらない。リ-マン・ショック以降、米国では総合的な物価指数は上昇しているが、衣料品などはむしろ低下している。日米欧では生活必需品を売る専門店が価格を競い、メ-カーへの価格要求が一段と厳しくなっている」

「アジアで購買力がある中間層が台頭するが、消費の伸びは高級品から始まらない。低価格帯から広がっていくものだ。アジアの消費でボリュ-ムゾ-ンをつかむには、製品の値段が安くなければならない。高品質・高機能と高付加価値化を追及するだけでは、発展できなくなった。衣料品など非耐久消費財の製造業は未知の領域に入る」

  

 

ということで・・・ファスナーから見た世界消費動向である。

「1980円のズボンも19万8千円のスカートも縫い付けるファスナーは1本だけ」

には、驚いた.

なるほど!である。

 

9月4日の拙ブログに、 僅か100円の『歯ブラシ商法』を掲載したけれど

このファスナ-に至っては、通常品の価格は、一本が十数円であるという。

その需要は、なんと400億本!

仮に一本10円ならば、4000億円の巨大市場である。

地球上で歯ブラシを使用しない者はいるが、いまではブラジルの

裸族までがズボンを履く時代である。

 

1本が十数円のファスナーは、実に(げに)『畏れるべきものなり』、が実感であり、

そこから見える世界経済の推察には興味がつきない。