昨秋、何の予兆もなく雷に打たれるように突然病臥を強いられ、退院後も
未だ自分なりに納得のゆくブログを書くに至っていない。
久しぶりに辛口を書く。
交感神経と副交感神経の調和を保つことが回復の鍵と信じて、
約束事をせずに時間が解放された生活を旨としている。
これは『己に負荷をかけない」、簡単に言うと『ストレスを招かない生活』を
することにしているのだ。
そんな生活の折にも、TVのニュースと天気予報は視ることとし、
一応は新聞も斜め読みをしているので、未だ世捨て人にはなってはいない。
ところで、先日NHKの夕刻の全国ニュースの2番手に『久美子社長が続投』と
放送されていたのには、驚いた。
いったい日本中がいつから、或る家具販売会社の「親子喧嘩」、
体裁よく言うと「経営方針の巡る争い」に関心を持ち、
NHKまでが大々的に報道せねばならないのかと、疑問を待たざるをえない。
上場会社、上場会社とマスコミは囃し立てているので、Wikiを検索したところ、
上場は東証1部ではなくてジャスダックであり、設立は1969年(昭和44年)、資本金は10億8000万円、売上高は562億円、純利益8億5000万円、従業員は1,749人という
小規模の会社である。
この騒動=喧嘩に関して、双方をこの場で云々することが
このブログの本意ではない。
また、わたしが何れに組みするかは、触れない。
ただし一言加筆するならば、一般的に親と子の年齢差は、25~40歳ほどある。
この年齢差は親子の考え方の違いを生んでおり、親子が異なる認識と
理解をもつことは当然のことである。
従って親にとって反抗と思える子供の言動は、認識と理解の相違の帰結であり、
反抗と思える言動こそが、子どもの成長の証であると、わたしは解釈している。
本論に戻ると、これだけの小規模企業の親子喧嘩を、NHKが大袈裟に放映する意味と価値があるのかと苦言を述べたいのだ。
国民に報道すべきニュースは、多々あるはずだ。
まあ、ヤラセの報道番組が囁かれる体質低下中のNHKなので、
報道内容の価値判断の劣化もあり得ない事もない。
ところで、このことに関して3月28日付けの日本経済新聞朝刊は総合2頁に、「久美子社長が続投」と大きく掲載し、編集委員・田中陽氏がコメントを寄せているので、その一部を引用する。
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「老いては子に従え」か「老馬の智」か。
大塚家具の株主総会が選んだのは前者だった。親子喧嘩なら次元の低い話だが、
これほど耳目を集めたのには理由がある。価格・顧客戦略と事業継承の行方
が注視されたからだ。
同族企業は事業継承の行方に「明日は我が社の問題」との危機意識が重なる。
―中略―
最大の争点は決められない経営を立て直すための健全な企業統治の再構築だった。
しかし、経営と資本が一体化した同族企業では矛盾をはらむ。
一応の決着をみた親子げんかも、問題の根本的な解決にはほど遠い。
それは大塚家具が特異なのではなく、多くの同族企業に内包する縮図だ。
株主総会で大塚久美子社長の目が泳いだ瞬間があった。株主から「社員と信頼関係が築かれているのか」と問われた時だ。答えるまでの数秒の空白。前途は多難だ。
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この日経の編集者コメントも、親子喧嘩の覗き見的な記事を出稿してきた自社の弁護としか読めない。
「犬が人を噛んでもニュースにならないが、人が犬を噛んだらニュースになる」といわれる。この伝でゆくと、今回の大塚家具案件は「人が犬を噛んだ」ほどのニュースの価値すらない。
そうではなく、今回は、NHKを始めマスコミが野次馬になって「親子喧嘩を乗せた」のだと思っている。
最後に、子どもが親の意見に従わずに反抗して自らの意志を貫いて、新たな道を生きるからこそ、大きく云えば、人類の進歩があるのだ。
だからと言って、今回の親子喧嘩で勝利した久美子社長の経営方針が、世に適合しているから成功するとは、簡単に云えない。
人生とは、知識・知見ではなく知恵がものを云う妙なる空間なのではないか
と思っている。