長野冬季オリンピク(平成10年)に向けて東京駅から長野駅まで開業(平成9年)された長野新幹線は、三月金沢まで延伸されて北陸新幹線となった。
これにより東京駅と金沢駅間の所要時間は従来の3時間50分から最短で
2時間28分となり、合計1時間28分の短縮になったとか。
人が目的地に早く到着すること、荷物が早く配送されることや
料理が早く即席に仕上がることなどが至るところ求められ、
『早くすること』がオカネを生み出す源泉になっているのが現代だ。
まさに『時はカネなり』を具現化している。
そんな折に、まったくその逆に位置する『愚公、山を移す』を
持ち出すことは、時代に似つかわしくない。
この故事は、周知の通り、中国の古代寓話の宝庫といわれる列氏の著作にある話だ。
二つの山の麓に住む90歳ほどの老人が南側を塞ぐ山々に不便を感じ、
山を移動するために切り崩して土砂をよそに捨てに行っていたが、人々が笑った。
愚公は『自分が死んでも子供がそれを引き継いで行う。子どもが孫を生む。
孫が子を生む。子孫代々受け継いで行えば、これ以上高くならない山は
必ず移すことが出来る』と。
天帝=神は愚公の志を聞いて感動し、山を移した。
作者、列子が言おうとしていることは、『世に知者は多くいて、
愚公の志を笑うばかりで自らは何ひとつも行わない。
愚かな者は智巧をもてあそばずに、飽くことなき努力をするので、
大きなことを成し遂げる』ということだ。
雷に打たれるように突然に病が襲い、手術など3ヶ月弱の入院生活を
余儀なくされたが、発症から早くも半年が過ぎた。
同じ時期に入院していた人からは、既に職場に復帰したとの連絡も聞く。
かく言うわたしは、御身大切とばかり春眠を享受する生活を満喫している。
目覚めてから起床せずにウトウトと床に横たえていることなどは、
小学生以来のことだろうか。
現在の生活の主眼は、病を友としながらも、自分の潜在的治癒力を
最大限に引き出して回復することにある。
簡単にいえば、病気が『いやはや、こんな心身になられたオタク様には安住できないので出てゆきます』と語りながら、出ていって欲しいと思っている。(笑)
それには、生物として肉体の改造と身体を支配している精神(心の持ち方)の
改変が必要だ。
① 身体の改造。
人には個体差があるが約2万2000弱の遺伝子があり、約37兆個(60兆ではない)の細胞がある。
遺伝子は変えられないが、細胞は替(か)えられるのでこれを日々の食事から全細胞を1-3年で替えたい。先ずは食生活の改良を徹底すること。
1. 動物性脂肪を控える。
2.魚・魚介類・植物油を食べる。
3.植物繊維の摂取。
単なる低速式ではない、圧縮式ジューサー(市販では普及されてない)による『人参・ジュース』は言わずもがな、朝晩2回飲むこと。
(このジュースには林檎とレモンを加える。
人参の匂いは皆無でレモンの香りと林檎の甘味がある)
これに加えることは、心臓と血管を活性化する毎日の歩行と
ラジオ体操を行うことである。
② 精神(想うこと)の改変。
自律神経の調和である。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、それぞれが交互に働いて身体を治めているが、いずれかの神経が過度の活動をすると均衡が失われ、病気を起こすと言われている。
この神経の過度の働きはストレスとなるので、均衡を維持するために
『生き方を変える』ことに徹底する。
生まれてから60年余、成人してからの40年余続けてきた生き方を変えることなどは、
簡単に出来ることではない。それを実行するには、今までの生き方を放棄することだ。
甘い物を食べなくするには、甘味を抑制するのではなく、塩分を摂らないことで
糖分を求めなくなる方法を用いることである。
(もっとも、石原結實医師は、塩分摂取は必須であり、塩分が悪いのではなく塩を
身体から排泄しないことが悪いと説いている)
今日までの一世の己を捨て、昆虫が脱皮するように、別人の己の二世を造ることだ。
今までの生き方を放棄することとは、良い子の見本のように早起きはしない、
時間に縛られて物事をしない、行儀良くしない、
部屋が散らかっていても頓着しない、等々。
人格者を目指す生活とはオサラバし、自分を自分で縛らないことが
ストレスを呼び込まないことだと思っている。
『愚公、山を移す』ではなく、『愚婦、山を移せ』と激励しながら過ごす
初夏の日々である。
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