数年前の文章です。
朱赤のノウゼンカズラ。
毎朝歩く、川べりの散歩道に雑木林がある。
あった、というべきか。
昨年の今ごろは、青々とした竹が茂り
立派なピンクのハマユウが自生していた。
そして大好きなドングリや椎の木も賑わっていて
秋頃に可愛いグリーンの帽子をかぶったドングリが
茶色になる様もじっくり観察する楽しみがあった。
ドングリを拾い、たまに枝を折って絵を描くために持ち帰ったりと
(内緒です^^)と、散歩の楽しさには事欠かなかった。
また雑木林の草に隠れて、這うように「ノウゼンカズラ」が
梅雨の雨に打たれて頭を下げるように咲いてもいた。
濃い緑と鮮やかなオレンジの花びらのコントラストが
目が覚めるような美しさに、散歩が一段と弾んだものである。
ところが・・・。
昨秋、その雑木林はばっさり切られ平地になった。
竹林も椎の木も見事に姿を消し、残された小さな林は
薬剤でも撒かれたのか、草もすべて茶色に変色し跡形もなくなった。
このことは昨年のブログに記したと思うが、すごいショックだった。
悲しかった。
大好きな「ノウゼンカズラ」も「ハマユウ」も根っこからざっくり
切り取られ可哀そうに、無残な姿をさらしていた。
個人の所有のものと思われ、仕方ないかとあきらめていると
今年の春ごろに、ひょっとして!と昨年の株のあたりを
探してみると、小さな芽がびっしり出ているではないか!
「やったぁ~強いなぁ」
わたしは大感激して、芽を踏まれないように
周囲の草を抜いて目立つようにしてやった。
朝顔のようにどんどんつるを伸ばし、昨年の株より立派に成長した。
やがて蕾を持ち、パラパラとオレンジの花をつけるようになった。
その感激たるや!
わが家でバラなどを枯らしてばかりいる身には
たいそう嬉しい出来事なのである。
今、まわりに青々とした雑草が生い茂り
隠れるように身を広げている「ノウゼンカズラ」。
植物の逞しい成長力に脱帽するのみである。
「ハマユウ」は草に埋もれてしまっているのか姿が見えない。
通行人に枝を折られないよう見守っているわたしだが
道にはみ出した小さなつぼみの付いた枝を踏まれる前に
一枝だけわが家に連れ帰ってしまった・・・。
許して、いとおしいノウゼンカズラさん。
最近カメラを持ち歩かないので写真は、ない。
そのうち、よそ様のトマトやシシトウなどの収穫期に合わせて撮ろう。
植物の繁殖力や逞しさに癒しとエネルギーを
いただくわたしである。
ノウゼンカズラ、まだ咲いているかな。
一度観に行こう。
確かめてみたい。