『借りぐらしのアリエッティ』

おなじみジブリのアニメ作品。
借り暮らしの・・・なんと変な題名だなぁと思っていた。



画像は借りています。


メアリー・ノートンファンタジー小説『床下の小人たち』が
原作となっていて自分たちの暮らしに必要なモノを
必要なだけ人間の世界から借りて生活する、
借りぐらしをすることからそのような表題になっているようだ。


アリエッティは、郊外のひなびた洋館に住んでいる小人の女の子。
小人の一族は、アリエッティが初めて借りに出たその夜、
借りの最中に病気の静養でこの屋敷にやってきた少年・翔に姿を見られてしまう。
人間に姿を見られたからには、引っ越さないといけない。
掟と好奇心の間でアリエッティの心は大きく揺れる。


夏休み最中の大勢の子どもたちに混じって、観た。
ちびっ子たちは家族に連れられておとなしく見入っている。
ふんわりと夢のあるファンタジーの世界は
大人が観ても充分、鑑賞に値する作品である。


物語のなかの木々に囲まれた古びた屋敷、
イングリッシュガーデンを思わせるような森のような素敵な庭。
透き通るような音楽と映像にうっとりし、しばし現実を忘れる。
ストーリーそのものも、夢があってはかなげで面白い。
しかし、公開前から背景を描いていたスタッフのひとりが
描くことのポイントをテレビなどで語っていたことから
わたしはアニメの技量に関心を抱いていた。


色とりどりに咲き誇る花・・・
草木、観葉植物、
古びた屋敷の床下に住む小人の生活用品、
壁にかかった絵、椅子、ポットなどなど・・
その小さな描写にためいきものである。
リアリティがある。
映像のきれいさに圧倒される。


大竹しのぶアリエッティの母親の声を演じているけれど
人間味あふれる、ちょっと三枚目的な役柄が
彼女のそのままのキャラクターのようで、おもしろい。


樹木希林の屋敷のお手伝い役が声だけでもじゅうぶん臨場感が
あるほどインパクトがある。
大きな顔で、ずるがしこそうでどこか憎めないキャラクター。
現実の彼女の姿態と重なる、といったら失礼になるのだろうか。


ともあれ、何も考えずにぼーっと愉しめるのがいい。