静かにしてくれませんか。

封切られたばかりの映画「ウォール・ストリート」を観に行った。
マイケル・ダグラス扮するゴードン・ゲッコーは相変わらず、かっこいい。
年を重ねて、ずいぶん渋さが増している。
「ウォール・ストリート」はオリバー・ストーン監督の作品で
前回の「ウオール街」から23年以来の続編であるという。


ウォール街のカリスマ投資家、ゴードン・ゲッコー(マイケル)は
インサイダー取引で獄中の人となり刑期を終え
ニューヨークに帰ってきたところから、物語りは始まる。


リーマン・ブラザースの破綻を前にしたNY連銀、
投資銀行個人投資家などの
息もつかせぬ展開がリアルに描かれており
物語の早い展開に、字幕を追うのに必死である。


映画が始まる数分前に、わたしの席2つ置いたところに
30代とおぼしきカップルが座った。
手に大きな飲み物が入ったお盆と紙袋を抱えている。
彼らが、持ち込んだお菓子を食べ出すと
パリパリと音のするそれが気になりだした。


映画が始まればそのパリパリはなくなるだろうと
思っていたのは早計だった!
始まっても、女性が袋を開け閉めする音や男女が発する
ぱりっというせんべいのような、歯切れのいい音は絶え間なく続く。
少し遠慮がちに?袋をガサゴソしているようにも思える。
うーん・・・映画を観ていても気が散る。
ガサゴソはやめてくれないかなぁ・・・。
いつまで続くのだろう?
なるべく気にならないよう映画に集中する。


しかし・・・
傍らの宿ハチさんは、我慢の限界らしく上映中に席を立ち
わたしの二つ隣の席の女性のところまで行くと
「静かにしてくれませんか。わたしは字幕は見ず
英語の台詞を聞いているので非常に聞きづらいです」と
小さい声で言った。
「すみません・・・」
女性のパリパリは、それからしなくなった。


ようやく落ち着いて映画に集中できるようになったけれど
字幕を読まない宿ハチさんには、よほど耳障りだったのだろう。
注意を促すのも勇気がいる。
しかし、あんな音のする食べ物を場内に持ち込むなんて・・・
時々遭遇するこの手の不快さには、辟易する。


舌鋒鋭く闇の株に精通しているゲッコーが返り咲き
再び娘を裏切るなどの場面は、寒々とした思いが
あったけれど、最後に見せる父子の情景が
珍しく心に余韻を持たせたハッピーエンドである。


映画は何者にも邪魔されないで、静かに観たいなぁと思う。



万博公園のロウバイ