大人のファンタジー

過日「ガーデナー」について記したところ、ナビのある方から
ガーデナーがキーワードのおもしろい映画があると教えていただいた。
まったく、シニア・ナビには何かにつけ[通」の方が多い。
おかげでこちらも蜘蛛の巣のように情報や知識が
広がり、ありがたく感じている。


映画の題名は「チャンス」
ピーター・セラーズ主演である。
ピーター・セラーズは喜劇俳優であるとか。
わたしにはなじみが薄い。


「ガーデナー」がキーワードと言うのは、
自分の名を名乗るときにチャンス、ガーデナー(庭師である)と
口ごもって伝えてしまい「チャンス・ガーデナー」と
名を思い込まれてしまう。


小さい頃から学校にもいかず、豪邸で、庭いじりだけを
数十年続けてきたチャンスは、主人の死で
邸宅を出なければならなくなった。
もちろん読み書きもできない。
外の世界は、見たこともなくテレビだけでしか知らない。


食べ物を買うお金もなく、どのように買っていいのかもわからない。
ただ、飄々として服装だけは、主人のお下がりを
もらって着ていたせいでどこかの大金持ちでインテリジェンスに見える。


邸宅を追い出されたチャンスは、街を歩いているとき
車に脚をぶつけてしまう。
その車の持ち主は、政界の大物ベンジャミン・ランド氏だった。
チャンスはランド邸に呼ばれ、ランド氏の主治医に
脚を見てもらうことになった。
純粋培養されたような世間知らずのチャンスをランド氏は気に入る。
ランド邸にアメリカ大統領が来たとき、ランド氏はあろうことか
大統領に、私の友人「チャンシー・ガーディナー」だと紹介する。


そして大統領は、ランド氏の友人ならば大物と思い、
今の政治について意見を求める。
チャンスは当然、政治のことなどわからない。
緊張するでもなく淡々と、庭師としての観点から
「今は冬だけど、春になるときっと花が咲く」と答える。
その応え方が、おかしくて、おもしろい!
まわりのお偉方も右へならえで感心している。
大統領はその純粋な意見に感動し、テレビでそのことを発表する。


そのことでチャンシー・ガーディナーは一躍、有名になる。
大統領はチャンシー・ガーディナーの事が気になり仕方ない。
側近や秘書に調べさせても何も知らない、わからない。
それで「FBI」「CIA」にその人物の素生を調べさせる。
しかし、彼が何者なのか全然わからない...。


現実離れしたふんわりした物語で、しばし浮世のうさを
忘れさせてくれる、いかにもアメリカ映画らしい作品だ。
ランド氏の妻にシャーリーマークレーンが出演していて
チャンスを誘惑しようとするが一向に意に介さない彼に
やきもきする情景もおもしろい。