テレビCMが変わってきた?

東日本大震災を機にテレビCMのあり方が
変わりつつある、とN紙は昨日の朝刊で説いている。


それによると・・・


世の中の空気をつくるCMは深刻な被害を前に
どんなメッセージを出せるか。
送り手側は表現に苦悩し、2ヶ月半模索を続けてきた。


震災後、多くのスポンサー企業は自粛し、穴埋めのため
約1200社で作る公益社団法人、ACジャパンの公共広告を大量に流した。


それから2週間以上、ACに電話は鳴り止まない状態に。
視聴者から1日200件超の抗議が続いた。
大半が放送頻度に対し「しつこい」などの苦情である。


そのことは以前、わたしもブログのなかで触れた。
「ACジャパンって?」
http://d.hatena.ne.jp/mursakisikibu/20110322/1300762448



CM総合研究所によると震災前の3月1〜11日在京全局の
AC広告の放送回数は計39回。
14〜20日は1日3000回を超え、
全体の8割程度がACという前例のない状態になった。
そして著名人を起用するCMに切り換えても抗議は殺到。


「たとえ良いメッセージでも数百回繰り替えされたら
押し付けにしか聞こえない」というのだ。


そのとおりと、わたしも思う。


非常時の緊急避難でAC広告を流す慣例を
見直すべきだとして協議を重ねている。


内容にも課題が残った。
関係者に文書で配った福島県の被災男性の訴えは
「がんばれと言われることが、私たちをどれだけ
傷つけるか考えたことがありますか」ということに対して
「頑張ろうが前面に出ないように配慮したつもり」と
しながら、表現が適切だったか、議論を尽くすという。


3月下旬以降に企業CMが回復。
CM総研の調べでは4月2日、AC広告は
全体の15%程度に。
そして俳優らが歌う応援CMが注目され始めた。


一企業が大上段に「頑張ろう」と言うのは違和感があった、
と宣伝部長は言い、「傷ついた人をにっこりさせる」
表現を探ったということである。


かくしてテレビCMは、商品より企業の姿を重視する形に
変わっていくだろうとみている。


「商品情報を詰め込み、ターゲットを狭く絞るCMが
近年の主流だった」けれど
今後は行き過ぎた細分化が落ち着き
「ビールは暮らしを豊かにする」といった
昭和風のメッセージが増えるだろう、という。


震災後、人々は家族や地域などへの帰属を志向した。
食事ひとつとっても個別に楽しむのではなく
団欒の場としての意味を強めるのではと、見ている。


トヨタ自動車の広告業務を行う
トヨタマーケティングでも
「車の細やかな装備を訴えるより、
安全な車づくりをしているかなどに
消費者の関心がいくのでは」と
今後の消費者の意識の変化を見るという。


送り手と受け手、双方の変化で広告表現の
大きな転機になりそうだと結論づけている。



確かに米国式の売りたい商品そのものを
ズバリ訴求するCMではなく
人間の情緒に訴える広告を目にしてきている。

雑音のようながなり立てる音や瞬時に変わる
映像は、心に残らないように思う。
震災が広告文化というものを変えてしまうのも驚きである。