紫煙

 

紫色の煙と書いて「紫煙」と言うそうである。

隣のベランダから流れてくるタバコの煙が

きれいな紫色をしているのかどうか知らないが

この匂いに最近辟易している。

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昨秋、隣に若い夫婦が越してきた。

1歳の赤ん坊がいる。

そのベビーちゃんのことでお隣のママさんとは

話をしたことがある。

気さくで明るい性格の人である。

ご主人も同じく屈託なく、普通の常識をわきまえた

人のように思える。

 

先日、わが家のベランダにハトが巣を作っているのを

発見してくれたのも、お隣のご夫婦だ。

ふたりは、ベランダでタバコを吸っているらしく

たまたま、境界あたりでゴソゴソしている

ハトをみつけ、電灯で照らしてみると

巣をみつけた、ということである。

 

ベランダでハトの鳴き声がするのは知っていた。

その都度追っ払ってはいたのだが、まさか

わが家で家つくりをしているとは意外だった。

おまけに卵を2個も産んでいた。

さっそく家ごと、ハトの居ぬ間に引っ越してもらい事なきを得た。

早く気がついて良かった・・・。

お隣さんには、感謝している。

 

ところが発見のきっかけとなった、そのタバコの煙に

今悩んでいるのである。

それまで閉め切っていたベランダ側の部屋の戸は、

今どの部屋も全開にしている。

彼らの吸うタバコの煙が、まともに流れてきているのだ。

 

こうしている間にも、風に乗って煙はわが家へと来ている。

この匂いに嫌悪を感じる。

 

わが家も夫が生前、喫煙しており、そのことではよくケンカをした。

「止めて欲しい」、「止めない」・・・で、だ。

部屋での喫煙は、吸わない者がまともに紫煙を吸うことになり

本人のガンの発症より、リスクが高い。

 

わが愚息も父に倣い、いまだに吸っているようである。

彼の場合はベランダではなくキッチンの換気扇の前で

吸うらしいのだが、やはりタバコのことで

嫁さんから禁煙を促されている。

よく働き仲のいい夫婦であるがこのことに関して愚息は分が悪い。

嫁さんと一緒に「タバコを止めたら!」の大合唱を

唱えるが聞く耳を持たない。

まったく嫌な習慣を身につけたものである。

 

タバコを吸う者にとって禁煙は、そんなにハードルが高いのだろうか。

わが愚息のことも心配だが、とりあえず

わが家に流れる紫煙をどうにかしなければ・・・。

シャットアウトするか、お隣さんがタバコをすう場所を

移動してもらうしかない。

 

わが家は夏でも川からの涼風が吹き抜け涼しい。

玄関もベランダ側の戸も開け放していると

ほとんどエアコンをつけなくて済むのだ。

それを閉め切るなど、到底できない。

 

お隣さんにかけ合うか・・・

毎日我慢して煙を吸うのも、からだ以上にこちらの神経が持たない。

心底、困っている。