ラジオのパーソナリティ

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料理の記事をブログなどで紹介するとき、読者が「食べたい!」と

思ってくれたら成功ですよ、と吾喰楽さんが言ってくれた。

彼は独り暮らしだが毎日、自分で献立を考え、作り、そして

美酒とともに「吾喰楽の食卓」で、披歴されている。

まるで日経新聞のコラム、小泉武夫の「“食あれば楽あり」のようで

いかにもおいしそうなのだ。

食べてみたい!と思う。

 

女のわたしでさえ、舌を巻くほどまめに作っておられる。

鬼籍の奥さまも、さぞ安心しておられるに違いない。

 

 そのような意味で、映画の解説を聴いて同じように

「うわぁ~観たいないぁ~~」って思ったら成功なのだろう。

 

 毎朝、8時からラジオのパーソナリティ番組を聴いている。

ありがとう浜村淳です」だ。

毎日放送だから近畿圏だけなのだろうか?

最近はネットの普及で海外でも聴いています、という聴取者の声が

あるぐらいだから、きっと広範囲に人気を博していると想像する。

40年続いている長寿番組らしい。

 

 そのなかで、パーソナリティの浜村淳さん(75歳ぐらいか)が

時事や社会情勢などを新聞や週刊誌をもとに詳しく話してくれる。

政治のこともわかりやすい。

わたしは、ときに朝食をいただきながら、片づけものをしながら耳を傾ける。

芸能情報なども、ミーハーなわたしにはおもしろい。

 

 土曜日の「わたしの好きな歌」では、聴取者の作文を

懐かしい歌謡曲とともに披露してくれ、涙を誘う。

投稿者は大正生まれや昭和ひと桁世代や、団塊真っただ中の

中高年であったりするが、そのどれもが一生懸命に生きてきた

己の過去と現在をないまぜにして見事な文章で綴っている。

 

ラジオで聴かせるために脚色もあるかも知れないが

じわ~っと胸に迫り、大げさに言うと万感の思いが募る。

また、パーソナリティである浜村氏の人間性が現れるのだろう。

情感たっぷりで、作者の生き方が目に浮かび

毎回、作文にも朗読にも感服している。

 

 番組のなかでは特に「浜村淳の映画さろん」は、好きだ!!

解説がうまい。

映画館へ行きたいと思う。

淀川長治や、水野晴郎にも負けないぐらいだと感じる。

 

 平日には「ローマの休日」など往年の映画のあらすじをやったりして

懐かしさとともに、観たい気持ちが湧いてくる。

 

やはり極めつけは、土曜日にある旬の映画の紹介か。

上映間近な映画を、多少ネタばれもあるけれど、背景に

挿入曲をまじえて話されると、いっそう気持ちが動く。

午前中だから、そのために外出も午後にしているほどだ。

 

先日観た「大統領の執事の涙」や「エバァの告白」も

映画紹介で心を動かされたもののひとつだ。

新聞や広告での映画案内も、目に留まり役に立つが

何と言っても浜村淳さんの饒舌で語られると

実際の評価などより数段、映画がよく感じられる。

 

一方で、劇場に足を運び観たけれど、いまひとつだった・・・

というのも、もちろんある。

でも臨場感あふれる彼の解説は、映画ファンのこころをそそる。

 

 紹介した料理を食べたい!と思わせる。

映画を観たい!と感じさせる。

それらは伝える側の真摯なこだわりがあってこそ!と思える。

 

歳を経ると目も舌もそして、耳も肥えてくる・・・