ブログにも旬がある

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昨日の朝、むっくり起きだして、当分休もうと思っていたブログを

突然、書きだしたのは、雨降りで日課の散歩ができなかったことと

前日の夜、居眠りしながら見たNHKの「55歳からのハローライフ」に

違和感を持ち、吐き出したい思いがあったからだ。

「いま、湧きあがっている感情」を、あとで思い起こし

記そうと思っても案外、迫力に欠けるものである。

 

結局そのことに触れないまま、昨日のブログは終わってしまったので

今日は、その続きになる。

 

ご覧になった方も多いと思うが、原作は村上龍の同名小説だ。

読んでいないが、検索すると2012年に刊行されている。

まだ新しい。

 

夫の定年退職に伴い、夫婦のこれからを「シニア世代の夢のある話」として

ドラマ化したもので脚本家が、飛びついたという。

55歳の退職はいまどき早いし、珍しい。

豪華なキャストに、豪奢な造りの家と、ハイ層な暮らしぶりが

見てとれる、かなりリッチな感じの設定である。

断っておくがバブリーなころの話ではない。

 

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第1話の「キャンピングカー」、第2話の「ペットロス」を観た。

NHKの前宣伝の割には、いまひとつである。

誰にも、身近に起こりうる素材だけれど何かぴんとこないし、

退職後の夫の悲哀などあまり感じられない。

確かに前職の看板をひきづって、就活を取引先の中小企業の社長に

はっきり、断られたところは共感できる。

当たり前だ。

しかし、全体的にいかにも机上で想像して書いた・・・という感が否めない。

 

特に第2話の「ペットロス」では、吹雪ジュン演ずる主婦の

可愛がっていた愛犬が病気になり、一生懸命看病し、最期まで看取る。

涙まで出して演じているというのに、見ているこちらに

その哀惜が伝わらないのは、なぜなのか?

 

わたしは、ペットを看取ったことがないし、実際の当人の心中はわからない。

けれど、周りには愛猫ちゃんを看取ったひとがいて

そのひとの話しは、聞いているだけで、その場面が想像でき

一緒に切なさを感じ、逝くまでの過程にも、泣けてきたものである。

 

ドラマの中では夫が部屋で犬を飼うことを嫌い、

病気になった犬ちゃんを妻が狭いクローゼットに入れ、一緒に過ごす。

定年退職した夫の食事もそこそこに、自分はおにぎりだけで

済ませ、ずっと犬ちゃんにつきそう。

 

いとおしいワンちゃんだ、飼い主にしてみれば子ども以上に不憫を感じるだろう。

つきっきりで看病する気持ちも、わかるような気もする。

果たして何カ月もそんな状態で暮らせるのだろうか。

 

つい最近、愛猫を亡くし、悲しみに浸っている知人にその話をすると

「あり得ない!」

「わたしだったら、主人が反対しても自分の部屋に入れて

普通の生活をしながら面倒みるわ!」

間髪をいれず、いう。

 

違和感があるのは、そうした細かい描写に、いかにも

ありそうな場面設定を無理して組み立てていることによるものか。

 

第一話に感動した!との称賛の書き込みが番組のHPにたくさん記されていた。

こちらは、感受性に乏しいのか、白々しい気持ちで観るばかりだ。

年を重ねるとは、これまで見えていなかったことが「透けて見える」

ということなのだろうか。

 

このようなモヤモヤした気持ちは、やっぱり早く吐き出したい。

ブログにも「旬」があると思うゆえんだ。