車のなかで5歳のかえでと、2歳のソウスケが喧嘩を始めた。
子犬がじゃれあっているようにも見え、
歳の差からいっても、勝敗はついているのだが・・・
最近は2歳も、5歳のねぇねに負けじと、いっぱしに張り合い、
5歳も、自分より小さいのだから譲ってあげよう~などという
気も薄れ、ささいなことで小競り合いになる。
ばぁばは、おねぇちゃんだから我慢しなさいなどと言いもせず
2歳に、とがめもせず、見守っている。
そして、いきつく先が・・・
5歳が「あっかんべぇ~~~~~」
そして、2歳も
「あっタんべぇ~~~~」
同じように言い返しているつもりでも、「ちょっと違うんやなぁ~」
ママも笑いながら成りゆきを見守る。
彼らの家に着くと、2歳が得意げに
「コーキ!コウキ!」と言いながら、紙ひこうきらしきものを
ばぁばに見せてくれる。
「これ、ワタシの!」
すかさず、5歳が取り上げる。
「まめっ!」(だめ)
取り上げられた2歳は、今にも泣きそうな顔でべそをかき
上目使いで、ばぁばに助けを求めるように見る。
最近は、おねぇも、イジワルになったのか、弟にきつい。
あまり、かばうことをしなくなった。
2歳が大きくなるにつれ、ふたりの距離は縮まり、対等意識が強くなったのだろう。
「貸してあげなさいなっ」
たまりかねて5歳に言う。
「ワタシが作ったの!!」
「ソウスケ、貸しては?」
「ソウスケ、ごめんねは!」
5歳は、兄にさんざん言われてきたことを
しっかり、弟に言うことを忘れない。
「かじてぇぇぇ・・・」(貸して)
「もめんねっ~」(ごめんね)
ねぇねが叱り、弟が謝る・・・
この図式が毎回繰り返される。
まったく、弱肉強食は家庭のなかにも根づいているとみえる。
小さな社会の営みが、あね・おとうとのあいだで繰り返され、
チビは学習するのだ。
にぃにが、夕方遊びから帰ってくると、待ちかねたように
ソウスケは、今度は7歳のにぃにに、すり寄る。
サッカーを真似てボール遊びを、したいらしい。
こどもの部屋からボールを持って来ると
「ばぁば、こっち!」
「にぃに、あっち!」
指をさし、2歳が指揮を取る。
ばぁばも、にぃにも、言われたとおりの場所に立ち、
ボールを蹴り、返してやり、遊ばれている・・・・。
晩ご飯の支度が出来て、ママが
「ほとけさんのテーブルを出してくれる子ぉ?~~」と声をかけると、
は~いと、2歳が得意げに手を挙げ、慣れた手つきで仏壇のテーブルを引き出す。
毎晩、ママは、一食分をお盆に盛り、お供えしている。
義母から教えられたことを守っている殊勝なところもある、ママだ。
3つの頭が並んで、ipadで「どらえもん」を見ていると
「だぁ~いすきっ!」
「おおきぃ~~~!」
ソウスケの感慨が言葉になって出る。
「ソウスケ、うるさいな!」
にぃにとねぇねに怒られては、二人のあいだにしっかり割って入り
いっぱしの仲間意識を持っているようである。
泣いたり、笑ったり、ケンカしたり、賑やかに繰り広げられる
「普通の当たり前の生活」に、ばぁばは、目を細める。
ソウスケの言葉も少しずつ増えているが、ちょっと違うんだなぁ。
彼の口からほとばしる言葉が宝石のように輝き、そしておもしろい。
ゆっくり、覚えたらいいよ~
まずは、「ママぁ、おしっこ~」が、先だなぁ~