きよし~ッ♪

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わが息子の名ではない。

氷川きよしの14周年記念ワンマンショーである。

耳をつんざく大音響のなか「きよしぃ~~!」「きよしく~ん!」

ピンクや青のライトを揺らし、黄色い声が会場いっぱいに轟く。

 

見渡すと、小学生のかわい子ちゃんから、若い女の子に混じって

腰の曲がったぢいちゃんや、介添え者に手を取られて来ているばぁちゃんも多い。

こわもてのおっちゃんもいる。

1階席には、いわずと知れた氷川のファンクラブの層が興奮して大挙し

ライトを落とした暗い会場にイルミネーションが渦巻いているかのようだ。

 

はぁ~~~

10代から90歳近い氷川きよしのファン層には、驚いた。

かくいうわたしも、ミーハーのひとりである。

特別に好きだというわけでもないのに、来てしまったのには

30年来の友人の誘いを断れなかったためもあるが、好奇心もある。

数年前に建設されたというホールは、音響設備が抜群だと聞いていた。

だんじり祭りで有名な岸和田市の「浪切ホール」である。

わが家からバスと電車を乗り継ぐと大阪駅(梅田)まで出るのと大差ない距離である。

いったい、どのぐらいの音響なのだろうと、興味津々だ。

普通の耳の持ち主以下なのに、ヘンなところでこだわる。

 

誘ってくれたひとは、齢80歳に近い。

まだ現役のデザイナーである。

良く食べ、仕事し、元気いっぱいの女性だ。

まるで、NHKの朝ドラ「カーネーション」に出ていた、コシノ姉妹の

母親のような気骨のある人である。

そんな彼女に、これまで色々コンサートと称するものに誘ってもらっている。

今回の「氷川きよしのコンサート」はチケットを購入したが、概ね無料だ。

無料の場合は、席が決まっていないので、開場時間よりずっと早くから

並ばなくてはならない苦労もある。

 

彼女が経営する店があるモールの、事業の一環として企画される「歌謡ショー.」の

チケットがわたしに廻って来る。

地元の商店連合会などとの共催だから、今までの場合、

会場は1000人ほどしか収容できない小さな会館で、催される。

音響は今ひとつだが、やっぱり生はいい!

聴かせる!

テレビなどの間接的な声より、はるかに胸に届く。

 

演歌は好きではない、などと言いながらけっこう、座を暖めている。

これまでいろいろ聴きに行った。

挙げるとキリがないが、いま思い出すだけでも出演者の

小林幸子北島三郎香西かおり、コロッケ、美川憲一、森進一・・・などなど。

意外なほどに感動したのが「神野美伽」である。

あのあっさりした男っぽい語り口が、たまらなくいい。

わたしは、どちらかというと、色気ムンムンの歌い手さんより

ハキハキとした男性のような女性歌手が好きである。

もちろん、歌もうまい。

それから、彼女の出る歌番組は見るようにもなった。

 

きよしくんのことに話を戻そう。

彼はいま「暴行問題」が取り沙汰されているようで、舞台のなかでも

ちらりとそのことに触れ、詫びていた。

真相は、わからないし、どうでもいいことのように思える。

生きていると予期せぬことの遭遇の連続だ。

彼らの世界に限ったことではない。

まだ若いのだから、これからも色々なことがあるだろう。

揉まれながら、もっと大成して欲しい、大阪のオバサンは密かに祈っている。

 

それにしても彼の歌唱力たるや、素晴らしい。

細いからだのどこから、あのような太い声量が生まれるのだと心底聞き惚れる。

正直言うと、彼の持ち歌もいいけれど、かつての大物歌手「三橋美智也」などの

カバー曲が好きだ。

「古城」や「哀愁列車.」など、氷川きよしが歌っても遜色ない。

聴かせるなぁ・・・うっとりである。

 

黄色い声援と、ぢっちゃん、ばっちゃんに混じって氷川きよしを愉しんだが

老いても、若くても、足を運ぶ人の気持ちがわかる気がした。

みな、エネルギーをもらっているのだ、生の演奏と歌と語りから・・・

そう思うと、ミーハー気分も捨てがたい。

音響の素晴らしさは、鳥肌ものだった。

 ちょっと気分転換できた。