「ガーデナー」と称される人

日曜日の朝に放映されているNHKの「趣味の園芸」を時どき、見ている。
最近「花育て」に目のないわたしは、一層の関心を持ってこの番組を観る。
なにしろ、にわか園芸愛好家は、草花を人一倍愛してやまないのだが
どういう加減か、よく枯らしてしまうのである。
どーしたら、生き生きと草花が丈夫に育ち、りっぱな花を
咲かせられるのか、悩みは尽きない。



それにしても出演している園芸家と称するひとの年代の若いこと。
かつてのそれはどこかの園芸学校のセンセイか、経験豊富な
年配の専門業者に限られていた。
いつのまにか様変わりしている。


若い男性に混じり、トレンディな服装に身を包んだ
およそ間違いな感じのする若い女性が多いことにも驚く。
そしてかつての園芸家はいまや「ガーデナー」と呼ばれ、
立派な職業として脚光を浴びているようである。


そのガーデナーとして活躍し、時どきその番組に顔を出している
若い男性の働いている園芸店が、わが隣町にある。
「寄せ植え」が評判のおしゃれな園芸店である。
彼はそちらで主任としての職を得ながら
自身のブログで花や店の紹介をしている。


雑誌「趣味の園芸」にも寄せ植えの作品が掲載されているせいか、
その店はいつも繁盛している。
ネットを見ての遠くからの来客もあるようだ。
わたしも娘も、こちらの店のファンで月に一度の頻度で訪れる。
買っても買わなくても、見ているだけでも遊べ、花選びの参考にもなる。
草花も珍しい品種が多く、同じ花種でも他と比べると
花も葉っぱも色鮮やかで、イキがいいように感じる。


そしてどれも寄せ植えは垢抜けている!
鉢と花たちとのコンビネーションが素晴らしく
見ても、見ても、見飽きない感じである。
鉢の種類も多く、アンティークなものや、輸入ものの
凝ったデザインまでこれまた見飽きることなく、見てしまう。



様々な、季節を先取りした花たちの饗宴を、
人間がアレンジしているのだが
こんなにも、心を引き寄せるものはないぐらい魅力だ。


しかしその魅力と引き換えに、対価はおどろくほど高い。
ならば・・・
しっかり寄せ植えの基本を抑えつつ、自分で花を選び、
アレンジするしかない。


かくして「ガーデナー」さんは、店の中でもお客様の
相談にのるなどして大忙しである。
にっこりと微笑みながら、手練手管のおばさまや、おじさまたちに
笑みと一緒にしっかり、それらを教え販売につなげる。
なかなかのものであり、そのサービスが
他との差別化になりリピーターを増やしている要因か。
美容室の指名ではないが、「目当てのひと」がいるだけで
店が活気ずくのも大きな宣伝効果になる。


今の世の中、高学歴でたくさの資格マニアがいる。
そのわりに就職難だといわれ、なかなか職に就けないひともいる。
こうして一芸に秀で、しっかり世の中の役に立ち
自立している若者もいるのである。
時代は変わりつつある。


耳慣れないカタカナ文字の職業が、己の得意分野として
食べていければ冥利に尽きるだろう。



画像はその店で許可を得て撮らせていただきました。