テキは術中に!

シューベルトの子守唄を珍しく高い声で歌う。
だんだん音声が低く、ダミ声に近づきつつあるわたしには珍しい。
わが孫(9カ月)を寝かしつけるために、である。
我ながらうっとりする美声?をこのときほど
感じたことはないほどに、だ。



シューベルトの子守唄
♪ ねむれねむれ 母の胸(むね)に
ねむれねむれ 母の手に
こころよき 歌声に
むすばずや 楽しゆめ ♪


歌詞もうろ覚えだが、何度も繰り返し、奏でるように歌う。
揺りかごのようにゆっくりリズムを取り、
肩を優しくポトポトと押す。


ママと6歳の潤平はクリスマスのプレゼントを買いに
お出かけである。
3歳のかえでは幼稚園から帰ると「ばぁばとおうちにいる」と
9カ月のそうすけと留守番を決め込んだ。


3歳は、風邪気味でしんどいのか元気がない。
ソファの上に寝転がり、大好きなメロンパンにも
手をつけようとしない。
うとうとしながらDVDで「トムトジェリー」を観ている。


9カ月は、お座りができ、寝返りや自力で転がることを覚え
ダイニングのテーブルの下に潜り込んでは
掃除のゆき届かない場所の埃と共に出てくる。
掃除やさんのようだ、危ないあぶない。


今にも歩きそうなほど足は強いが、まだハイハイはできない。
しかし彼の行動範囲は広く、リビングの隅から隅へと転びまわっては
見たものを、口に入れるから油断がならない。


この9カ月くん、ふだんニコニコと愛想がよい。
誰からも「育てやすそうね〜」などと言われている。
しかし知られざる恐るべきクセがあるのだ。
それは、夕方のママの忙しい時間帯に限って
この世の終わりかと思わせるほどの大きな声で泣く。
それには、お兄ちゃんもお姉ちゃんもなす術がない。
まったく、どこから大量の涙が出、大きな声が出るのかと
ママもびっくりである。


背中におんぶして台所に立っても彼は
後ろからニョキっと手を伸ばし、危ないことこの上ない。
毎回、夕方になると戦場が繰り広げられる。


昨日の留守番のときも、眠たくなったのかグズリ始めた。
3人のチビたちは、母乳で育てられており、眠るときには
ママのおっぱいが一番落ち着くようだ。
あの手この手でなだめるがいっこうに効き目なし。
カンガルーのようにお腹や胸で抱っこする「抱っこ帯」は
赤ん坊は心臓の鼓動が安心なのかすぐ寝てくれる。


しかしこの優れもの・・・
外国製でけっこう扱いが面倒で、難しい。
結局、ひとりでは扱いかねて断念。
間違って赤ん坊を落っことしても怖い。
仕方なく、根気よく冒頭の子守唄と相成った。


シューベルトの子守唄は、上ふたりを寝かしつける時も
使った常套手段なのだがチビ助だけが、なかなか落ちてくれない。
時々、目を閉じウトウトしかけて「やったぁ」と嬉しくなるのだが
大きな目をぐるりと見開き、ばぁばの顔を見上げる・・・


ふぅ〜む。
この手は使えぬか・・・
ゴンタくんにはこの高尚な子守唄が届かぬと見える、と思いきや、
ドングリのような丸い眼がどんどん平べったくなっている。
眠りかけているようである、珍しい・・・。


ああ、うれしや。
その内、腕がだらんと垂れ頭をばぁばの胸に添わせ、
寝息を立て始めた。
ばぁばの子守唄が通じ、テキは術中に落ちたのである(笑)
やれやれ・・・
チビたちとの奮戦で今年も暮れようとしている。



昨日のお昼ごはん
カレイの煮つけ  かぶらのそぼろ煮  ひじきと豆の五目煮
そして写真にはないがあと小松菜の和え物。
どこぞの定食のよう・・・?昨夜の残り物だそうだ。


子どもたちは煮つけなどの和食が大好き。
6歳はそぼろ煮を2回もお代わりしていた。
9か月も一人前に一緒に食卓につき
同じ食材で離乳食を食べている。
大きく口をあけていくらでも食べる。