消費の低迷でモノが売れない。
売れてもユニクロに象徴されるように低価格が主になっている。
飲食店もどこかの牛丼やさんが価格を100円下げた!と
話題になっている昨今である。
そんななか、飲食店の対象顧客が異なることは承知しているが
食べ物やさんでも待ち時間がでるほど繁盛している店がある。
今日、知人と行って来た和風の食べ物やさんがそのいい例である。
駅から遠く辺鄙なところに建っているにも関わらず、
予約客でいっぱいである。
遠方からドライブがてら寄ったという集客をも取り込んでいる。
ホームページなどで紹介されていることもあるだろうが
しっかり今のニーズをつかんでいると言える。
メニューは家でもできそうなありきたりの素材を使った
素朴な料理ばかりで、ランチの価格もコーヒー込みでそう安くはない。
古民家風カフェの店内は、剥き出しの梁や土壁、アンティークな家具が
落ち着いた雰囲気を感じさせ、特に中年女性に人気がある。
印象的なのは池に面した大きなガラス窓から見える景色が素晴らしい。
庭には山野草や草花やモミジなどの木々が植えられており
お茶を呑むだけでも充分満足できる。
使っている器はいかにも無骨で風情がある。
同じ敷地のなかに陶芸の館があり、食事を終えると
そちらの焼き物をじっくり見ることもできる。
「食べる」文化に付加価値をつけているといえる。
いまでいうコラボレーションということかもしれない。
このように一つ、ひとつのことにこだわりを持ち
差別化を図っていることが繁盛の要因ではないだろうか。
もうひとつの例は、だんじり祭りで有名な大阪南部のK市にある
「五風荘」で、やはり2時間待ちが通常なぐらい混んでいる。
こちらは 岸和田城近くに、地元実業家の寺田利吉氏が昭和初期に建てた邸宅で
約8千平方メートルの敷地に、母屋と「山亭」など3つの茶室、回遊式の日本庭園を備えている。
「観光資源にしようと平成5年に市が買い取ったが、採算が合わず、昨年、市が民間から指定管理者を公募。
大阪市内や兵庫県宝塚市などで、伝統的な日本家屋など5店の“お屋敷”店舗を経営するがんこが提案した和食店としての活用と保存計画が採用された。」
ということで、広大なお屋敷を見学し情緒ある畳の部屋で食事を愉しむ。
このことが話題を呼び、こちらも食事の中身はさほどよくはないが顧客をひきつけている。
デフレだ、安いものしか売れないと嘆く前に今の
現況下でひとひねりできるものはないか一考することも大切といえる。