親と子の間には

厚くて深い壁がある?


知人の子息は結婚して遠方住まいである。
お盆やお正月休みには、家族で大阪にある夫の実家に帰省する。
その妻の実家も近くにあり、遠路からの帰省は双方のところに
行けるのでちょうどいい。
しかしその妻は、自分の実家へ行くこともなく
ほとんど夫の実家で過ごすのが恒例になっている。


お正月が過ぎると子息は仕事のこともあり早々に上京するが
妻と息子(小1)は学校が始まるギリギリまで、そのまま滞在している。
よほど、お嫁さんにとっても居心地がいいのだろう。


孫さんは、知人によくなついており
勉強をみたり、一緒に遊んでやったりと忙しい。
おまけに三度の食事も姑である知人が、主に作る。
そんな状態をみて知人の夫(息子の父)が多少の苦言を呈するそうだが
本人はいっこうに意に介さない。


孫の面倒を見るのも、嫁のことを大事にするのも
「すべては息子のため!」と割り切っている。
「なんと言っても息子が一番可愛い!嫁や子どもを大事にすることは、
息子が喜ぶから」だそうである。


なるほどなぁ。
そんな考え方もあるのか・・。
わたしなど純粋に孫が可愛くて、娘が一番!とは、意識したことがない。
息子にまだ子どもがいないから、それもよくわからない。
「息子の親」というのはそういうものなのかしらん?と思ったりする。


一方で知人のお嫁さんは、どうして実家に帰りたがらないのかというと、
それには、また訳がある。
嫁には実弟がいて、同居していないが彼女の両親は
そちらのほうに愛情が深い。
要するに嫁に行った娘家族より、弟家族に執心しているようである。
知人の子息が子どもを連れて挨拶に行っても、弟の子どもとの境界は
はっきり感じるそうである。


どちらも、我がお腹を痛めて生んだ子どもであり、その子ども(孫)に
差別意識があるのは、どういうことだろうか。


「親と子の相性」って、聞いたことはある。
けれど孫にまでその類が及ぶことは解せない。
しかし世間にはよくあることらしい。


同居している長男の孫が一番可愛い、ということは聞いて知っている。
赤ん坊のころからずっと一緒に暮らし、成長を傍目でみて育つのと
たまに会う孫では愛情の深さが違ってくるのは当然だろうか。
たぶんにこれは、将来の介護など親の不測の事態に備えての
防衛策だろうかとも、思える。


それにしても、親と子とのあいだが、祖父母と孫の関係にまで
発展するのはどうかなぁと思ったりする。
人間の感情は、複雑だ。