寿命と魅力の二者択一

以前、このブログで動物行動研究家、竹内久美子
「女は男の指を見る」に触れた。
過日のY紙の夕刊に掲載された「去勢のマナー」についても、おもしろい。
少し紹介してみよう。


イヌとは違い、ネコは自由に行動させている飼い主が多く
その場合発生する一番困った問題は、メスが妊娠したり
オスがよそ様のメスを妊娠させることであり
多くの飼い主は、オスにもメスにも去勢手術を施しているが
オスの場合は簡単で、睾丸を摘出するだけである。


メスの場合は大きな手術となり、卵巣と子宮を摘出するケースが多く
それでも去勢は生後、半年くらいまでにしないと効果が弱いという。
そのことで寿命がオスで3年近く伸び、
人間に当てはめると10数年になるらしい。


日本人男性の平均寿命は約79歳だが、タマ抜きをすれば
一挙に90代にまで伸びるそうである。
メスはたったの半年くらいしか伸びず、オスが飛躍的に伸びるのは
睾丸から分泌される、男性ホルモンのテストステロンに
免疫力を低下させる働きがあるからだという。


このテストステロンは、オスの健康に悪影響を及ぼしており
人間の男が女より短命なのもおなじ理由からである、と言っている。


しかし・・・
このテストステロンが、ルックスや声、筋肉や運動能力など
男の魅力を引き出すカギとなっていて、男は寿命を取るか
魅力を取るかの二者択一を迫られる。
なかなか悩ましい。


人間の男を実際にタマ抜きにしたら、果たしてどれぐらい
寿命が伸びるだろう、と面白い関心を抱いてもいる。
宦官が長生きであることは知られているがデータがない。


カストラート」と呼ばれるオペラ歌手がかつて存在し
生没年についても詳しくわかっていて、
17〜18世紀のイタリアで全盛を極めたが
家畜の去勢を専門とする人々にタマ抜きをしてもらい
ソプラノやソプラノに近い声を出すことができた、という。


19人の天寿をまっとうしたカストラートについて
寿命を調べていて
80代が3人 70代が6人 50代が2人 40代が一人と
当時の寿命についてはよくわからないけれど、
ほぼ全員が平均寿命を上回っているはずだ、としている。


人気を博したカストラートは大変な富と名声を得たといい
繁殖を取るか?それとも自身の繁殖はないが、
富と名声と寿命を取るか?と
面白い提言をして、結んでいる。


相変わらず、言いにくいことをポンポンと投げかける氏である。
しかしテストステロンとやらが、男性の健康に悪影響を
及ぼすなど、初めて知ることであり、興味深い。